妊婦がインフルエンザワクチンの接種を受けると、生まれた子供のインフルエンザ様疾患による入院が39%減少し、インフルエンザ確定例となるリスクも41%減少することが明らかになった。米Johns Hopkins Bloomberg School of Public HealthのAngelia A. Eick氏らが、前向き観察研究の結果を、Arch Pediatr Adolesc Med誌電子版に2010年10月4日に報告した。
妊婦が季節性インフルエンザの予防接種を受けると、生まれた子供もインフルエンザから守られるのだろうか。米国ではすべての妊婦に対してインフルエンザワクチン接種が推奨されているため、無作為化試験を行うことができない。そこで著者らは、前向き観察研究を実施してこの疑問に対する答えを得ようと考えた。
対象は、一般米国人に比べて小児の呼吸器感染症罹患率が有意に高いナバホ族とアパッチ族とし、ナバホ族居留地の6病院、アパッチ族居留地の1病院の参加を得た。
02年11月から05年9月までの3回のインフルエンザ流行期に登録を実施。具体的には、02年12月1日から03年3月15日まで、03年11月1日から04年3月8日まで、04年11月1日から05年3月15日までのいずれかにおいて、妊娠36週以降に出産し、健康な子供を得た母親とその子、計1169組を登録した。02/03シーズンが241組、03/04シーズンが574組、04/05シーズンが354組だった。
分娩時または分娩後14日以内に母親から採血し、臍帯血も出産時に採取。臍帯血採取が不可能だった場合は、出生から14日以内に新生児の血液も採取した。さらに生後2~3カ月と生後6カ月にも同じ出生児から採血した。
1回以上血液標本が入手できた母子1160組(99%)を分析対象とした。そのうち、母親が妊娠中にワクチン接種を受けていたのは49%(573組)だった。
登録された出生児の受診または入院は、毎年11月から翌年4月末まで監視した。
主要アウトカム評価指標は、出生児のインフルエンザ確定例、インフルエンザ様疾患による受診、インフルエンザ様疾患による入院、HI抗体価に設定した。
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Arch Pediatr Adolesc Med誌から
妊婦へのインフルワクチンは出生児の感染・入院も予防
2010/10/19
大西 淳子=医学ジャーナリスト
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