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Arch Intern Med誌から
JUPITER試験を分析し、バイアスの存在を指摘

 コレステロール降下薬が心血管イベント一次予防において有効かどうかを調べた研究は数多く行われてきたが、JUPITERほど注目を集めた臨床試験はない。仏Joseph Fourier大学のMichel de Lorgeril氏らは、LDL-コレステロール(LDL-c)値が正常域の人々におけるロスバスタチンの明確な利益を示したJUPITER試験のデータを詳細に分析し、バイアスの存在を指摘。その結果に基づいてガイドラインや日常診療に変更を加えてはならないと述べている。論文は、Arch Intern Med誌2010年6月28日号に掲載された。

 JUPITERは、心血管歴のない、コレステロール高値ではないが高感度CRPhsCRP)高値の人々を対象に行われた。論文は、偽薬に比べロスバスタチン群で、LDL-c値は50%低下、hsCRPは37%低下、心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、動脈血行再建術の施行、不安定狭心症による入院、心血管死亡を合わせた複合イベント)は44%低下したと報告していた(関連記事)。

 論文発表直後から、その結果に関する活発な議論が行われた。de Lorgeril氏らは、この試験で用いられた方法と得られた結果を詳細に分析し、いくつかの問題点を見い出した。

 (1)JUPITERは、あらかじめ設定された条件に基づいて2年に満たないうちに早期中止されたが、あらかじめ設定された条件が何だったのか、どのエンドポイントに基づいて早期中止が決定されたのかは論文に記述されていない。また、早期中止を指示したのは独立した安全性監視委員会のメンバーだとされているが、委員会の会長は、企業の資金を得た脂質降下薬に関する臨床試験の多くに関係している人物で、利害抵触が懸念される。

 (2)主要エンドポイントに設定された複合イベントの中に、血行再建術や入院が含まれていた。これらは医師の判断に基づくもので、バイアスが入り込む余地がある。それらを除いて、致死的または非致死的心筋梗塞と脳卒中というハードエンドポイントに限定すると、早期中止時点で発生件数は240件しかなかった。

 (3)全死因死亡率の経時的な差を詳細に調べたところ、追跡を続けていれば、介入群と対照群の差は縮小し、いずれは消失した可能性が認められた。

 (4)早期中止の理由の1つとされた「ロスバスタチン投与による心血管死亡率の明白な減少」にかかわるデータは論文に含まれておらず、論文の表中の数字から推定すると、心筋梗塞による死亡はロスバスタチン群9人、偽薬群6人、脳卒中死亡はそれぞれ3人と6人で、合計は両群ともに12人ずつとなった。

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