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Arch Intern Med誌から
β遮断薬がCOPD患者の死亡と増悪のリスクを低減か
非使用者に比べていずれも約30%減少

 これまで慢性閉塞性肺疾患COPD)患者への投与が控えられてきたβ遮断薬が、実はCOPD患者に生存利益をもたらし、増悪リスクを低減する可能性がある―。そんな観察コホート研究の結果を、オランダUtrecht大学医療センターのFrans H. Rutten氏らが、Arch Intern Med誌2010年5月24日号に報告した。

 COPDと心血管疾患はその危険因子が共通であるため、両者を合併する患者が少なからず存在する。患者の死亡率は高いが、心血管疾患患者の死亡リスクを低減することが知られているβ遮断薬の使用は、COPD患者に対しては控えられてきた。β遮断薬には気管支収縮作用などがあり、肺に有害な影響を及ぼす可能性があるからだ。しかし、COPDと心血管疾患を合併する患者の一部がβ遮断薬投与により生存利益を得たという報告もあった。

 そこで著者らは、長期的なβ遮断薬投与がCOPD患者に与える影響を明らかにするため、患者の生存と増悪に焦点を当てて分析するコホート研究を行った。

 Utrecht近郊の一般開業医院23カ所に所属する35人の医師が記入した電子カルテ(受診、診断、処方に関する標準化された情報が登録されている)の中から、1995~2005年の間にCOPDで受診した45歳以上の患者2230人の情報を抽出した。うち560人(25%)が当初からCOPDで、残りの1670人(75%)は追跡期間中にCOPDと診断された。

 試験開始時の平均年齢は64.8歳で、53%が男性だった。44.9%が心血管疾患(狭心症、心筋梗塞、虚血性心疾患、心房細動、心不全、末梢動脈疾患、脳卒中)を抱えていた。心血管危険因子である高血圧、糖尿病も加えると全体の66.3%になった。

 β遮断薬を使用していたのは2230人中665人(29.8%)で、心臓に選択的に作用するβ遮断薬が主に処方されていた。β遮断薬使用群では、非使用群に比べ、高血圧と糖尿病が有意に多く、心血管疾患患者の割合も有意に高かった。

 平均7.2年の追跡で686人(30.8%)が死亡し、1055人(47.3%)が1回以上のCOPD増悪を経験した。β遮断薬使用群の死亡率は27.2%、非使用群の死亡率は32.3%(P=0.02)。増悪はそれぞれ42.7%と49.3%だった(P=0.005).

 β遮断薬の使用と死亡、増悪の関係を明らかにするためにCox回帰分析を行った。粗のハザード比のほか、年齢、性別、喫煙歴、心血管疾患歴、高血圧、糖尿病、β遮断薬以外の心血管疾患治療薬の使用、肺疾患治療薬の使用、呼吸器専門医への紹介などで調整したハザード比を求めた。さらに、β遮断薬使用にかかわる共変数を両群間で極力等しくするために傾向スコア法を用いて調整したハザード比も推定した。

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