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Arch Intern Med誌から
制酸薬使用はC.difficile院内感染のリスクを高める
治療中にPPIを投与された患者の再感染リスクは42%に

 軽症から重症の下痢を引き起こす、Clostridium difficile感染(CDI)の院内感染発生率と制酸薬の使用の間に用量反応関係があることが、米Beth Israel Deaconess医療センターのMichael D. Howell氏らが行った薬剤疫学コホート研究によって明らかになった。また、CDIの治療中にプロトンポンプ阻害薬PPI)を投与された患者では、その後90日までの再感染リスクが42%高いことを、米Boston医療センターのAmy Linsky氏らが示した。2つの論文は、Arch Intern Med誌2010年5月10日号に同時掲載された。

 米国では、過去10年間にCDIの罹患率が約3倍になった。制酸薬使用とCDIの関係はこれまでにも示唆されてきたが、確かなエビデンスは得られていなかった。

 そこで、Howell氏らは、前向きに収集された電子カルテのデータを2次分析した薬剤疫学コホート研究を行った。

 3次医療施設であるBeth Israel Deaconess Medical Centerに3日以上入院し、04年1月1日から08年1月31日までに退院した18歳以上の患者の電子カルテからデータを抽出。入院から3日目以降にC.difficile毒素検出キットを用いた検査で陽性となった患者を院内CDIと見なし、それらの患者を、制酸薬使用の有無に基づいて以下のように4分した。(1)使用なし(2)H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)を使用(3)PPIを1日規定量使用(4)PPIを1日規定量を超えて使用。

 これまでにCDIの危険因子であると報告されている抗菌薬(特にβラクタマーゼ阻害薬などの高リスク抗菌薬)の使用歴などに関する情報も得た。

 条件を満たした入院は10万1796件。院内CDIは665件(入院症例の0.7%)発生していた。

 以前から報告があるように、抗菌薬の使用はCDIの強力な危険因子だった。使用なし群の感染率は0.2%、低リスク抗菌薬使用群では0.4%、高リスク抗菌薬使用群は1.1%。

 また、院内CDIと判定された患者の院内死亡率は、そうでない患者より有意に高く(8.9%と2.4%、P<0.001)、入院期間の中央値も有意に長かった(15.0日と5.0日、P<0.001)。

 投与された制酸薬の作用が強いほど、院内CDIリスクは高くなることが示唆された。制酸薬使用なし患者のCDIの発生率は0.3%(95%信頼区間0.21%-0.31%)、H2ブロッカー治療群では0.6%(0.49%-0.79%)、1日規定量のPPIを使用したグループは0.9%(0.80%-0.98%)、1日規定量を超えるPPIが適用されたグループでは1.4%(1.15%-1.71%)だった。

 併存疾患、年齢、抗菌薬使用、傾向スコアに基づく制酸薬投与の可能性で調整しても、引き続き有意な関係が見られた。

 制酸薬使用なしを参照群としたオッズ比は、H2ブロッカー群が1.53(1.12-2.10)、1日規定量のPPI使用群が1.74(1.39-2.18)、1日規定量を超えるPPI使用群が2.36(1.79-3.11)と、いずれも有意となった。

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