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Ann Intern Med誌から
CKD患者のESA治療、Hb目標値が高いと有害事象が増える

 慢性腎疾患CKD)で重症の貧血を示す患者にエポエチンなどの赤血球造血刺激薬ESA)を使用する際に、目標とするヘモグロビン(Hb)値を高く設定すると(本研究では中央値130g/Lに到達)、脳卒中、高血圧、シャント血栓のリスクが有意に上昇する―。そんな結果が、最新の無作為化試験のデータを組み込んたメタ分析で明らかになった。ニュージーランドOtago 大学のSuetonia C. Palmer氏らが、Ann Intern Med誌電子版に2010年5月4日に報告した。

 ESAは、1989年の登場時には、CKDで重症の貧血を示す患者にとって大きな福音と考えられた。当初、ESAはCKD患者の輸血回数を減らしQOLを改善する上に、安全性にはほとんど問題がないと見られていた。しかし、近年、目標とするヘモグロビン値を高く設定して患者に投与した場合に有害事象が現れるとの報告が相次いでいた。

 07年に行われた9件の無作為化試験を対象とするメタ分析の結果は、目標とするヘモグロビン値を高く設定すると、全死因死亡、シャント血栓、高血圧のリスクが上昇することを示した。

 その後、新たな無作為化試験の結果が報告されたため、著者らは、最新のデータも組み込んで、ESAが貧血のあるCKD患者の臨床転帰に及ぼす影響を総括すべく、メタ分析を行った。

 MEDLINE、EMBASE、コクラン比較臨床試験登録から無作為化試験の結果を抽出。CKD患者にあらゆる用量のESAを適用した無作為化試験で、対照群には偽薬を投与、または治療なし、もしくは、より低用量のESAを用いていた研究を選んだ。

 27件の試験(患者数は1万452人)が条件を満たした。これらの研究で、介入群(ヘモグロビンの目標値が対照群より高く設定されていたと見なした)で達成されたヘモグロビンの中央値は130g/L、対照群(目標値が介入群より低いと見なした)では101g/Lだった。対照群に比べ、介入群の患者では、輸血の必要性は低かった(相対リスクは0.61、95%信頼区間0.49-0.77)。だが、静脈内鉄投与を受けた患者は多かった(1.57、1.13-2.20)。

 一方、脳卒中リスク(累積相対リスクは1.51、1.03-2.21)、高血圧リスク(1.67、1.31-2.12)、透析シャント血栓のリスク(1.33、1.16-1.53)は、介入群で有意に高かった。

 有意差が見られなかったのは、全死因死亡率(1.09、0.99-1.20)、重症心血管イベント(1.15、0.96-1.33)、末期腎疾患(1.08、0.97-1.20)。ただし、いずれもヘモグロビンの目標値が高いとリスクが上昇する傾向を示した。

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