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Science誌から
ブタ由来H1N1、フェレットで強い病原性を確認
肺や腸管からもウイルス検出、ただし全身性の増殖は示さず

 米国とオランダの研究者たちが、それぞれ別個に、フェレットを用いてブタ由来A/H1N1インフルエンザウイルスと季節性A/H1N1ウイルスの病原性と感染性を調べる実験を行った。用いられたウイルス株が異なり、飛沫感染効率については結果は一致しなかったが、病原性については、いずれもブタ由来H1N1の方が有意に強く、下気道での増殖能も高いことを示した。2つの論文は、Science誌電子版に2009年7月2日に報告された。

 これまでに報告されたブタ由来H1N1感染者の多くは、合併症はなく、発熱、上気道症状など季節性のインフルエンザと同様の症状を示している。一方で、これまでに180人超が死亡しており、感染者の約40%に消化管障害や嘔吐などの症状が見られたとの報告もある。秋冬にかけて予想される第2波に備えるためには、このウイルスの哺乳類に対する病原性と感染性に関する詳細な情報を集める必要がある。

 CDC(米疾病対策センター)のTaronna R. Maines氏らは、フェレットとマウスを対象に実験を行い、ブタ由来H1N1ウイルスは、季節性H1N1とは異なり肺組織でも増殖し、腸管からもウイルスが見付かることを明らかにした。感染性については、季節性H1N1株に比べ、ブタ由来H1N1の飛沫感染の効率は低いとの結果が得られた。

 動物実験に用いたのは、患者の鼻咽頭スワブから分離したブタ由来H1N1ウイルス(A/California/04/2009:CA/04、A/Mexico/4482/2009:MX/4482、Texas/15/2009:TX/15)と、季節性H1N1ウイルス(A/Brisbane/59/2007:Brisbane/07)。

 ブタ由来ウイルスのうち、CA/04は合併症がなく上気道症状を示した小児、MX/4482は重症呼吸器症状を呈した29歳の女性、TX/15は重症呼吸器症状で死亡した小児患者に由来するウイルス株だ。

 これらのウイルスをフェレットの鼻腔内に106プラーク形成単位(PFU)接種し、観察したところ、CA/04感染フェレットは明らかな臨床症状を示さなかったが、活動性が幾分低下した。TX/15またはMX/4482の感染は、明らかな臨床症状をもたらし、活動性低下も大きかった。

 体重減少は、季節性H1N1感染フェレットに比べ、ブタ由来ウイルス感染フェレットで有意に大きかった(p<0.05)。体重減少が著しかったMX/4482ウイルス接種群では、6匹中3匹を試験終了を待たずに安楽死させざるを得なくなった。

 ブタ由来H1N1感染フェレットでは、鼻腔洗い液中の平均のウイルス力価は接種後1日目に最高値(107.1~7.7 PFU/mL)となり、5日目まで104.4PFU/mL以上の値が持続した。

 季節性H1N1感染フェレットも同様の変化を示し、ウイルス排出量は、接種から5日目まで104.7PFU/mL以上の値を示した。

 しかし、ブタ由来H1N1感染フェレットでは、季節性H1N1感染フェレットと異なり、下気道のウイルス力価が高かった(肺組織1g当たり104.1~6.0PFU)。また、腸管でもウイルスが検出され、直腸スワブまたは腸管全体から採取した組織標本におけるウイルス力価は、101.3~2.7PFUだった。

 すべての個体にウイルス血症は認められず、脳、腎臓、肝臓、膵臓に感染性のウイルスは見つからなかった。

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