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Science誌から
メキシコの新型確定例と疑い例、4月末までの致死率は0.44%
確定例のみなら0.04%

 メキシコで始まった新たなA型(H1N1)インフルエンザウイルスの感染は、急速に世界中に広がっている。英国MRC Centre for Outbreak Analysis & ModellingのChristophe Fraser氏らは、公衆衛生当局の方針決定に必要な情報を早期に提供すべく、2009年4月末までのメキシコにおけるデータを利用して新型H1N1ウイルスの感染性と重症度を評価。疑い例を含めた場合の致死率は0.44%であるとの推計結果を得た。詳細は、Science誌電子版に2009年5月11日に掲載された。

 著者らは、メキシコでのアウトブレイク、全世界的な感染拡大の初期のデータ、そしてウイルスの遺伝子配列などに関するデータについて分析し、感染性と重症度を推定した。

 09年5月5日までに報告された死亡者は、メキシコの確定例29人と疑い例88人、そして米国の1人となっていた。致死率(case fatality ratio:CFR)を計算するには、無症候者も含む感染者の総数を正確に把握することが必要だが、広く適用できる簡易検査がないため、その数は不明だ。報告されているメキシコの感染者は、疑い例が1万1357人、確定例が822人となっていたが、調査は主に重症例を対象としているため、実際の人数はそれより多いと考えられる。

 著者らは、より正確な感染者総数を以下のように推定した。

 まず、感染は旅行者を介して世界各地に広がったという仮説のもとに、メキシコからそれ以外の国の特定地域への空路旅行者の数と感染確定例の数の関係を調べたところ、明らかな相関が認められた(スペアマン相関係数は0.56、p=0.004)。

 そこで、旅行者の中に発生した感染者に関するデータを利用して逆解析を行い、4月末まで(感染から発症、検査、診断確定、報告までの期間を考えると実際には4月23日頃まで)の感染者総数を求めた。分析は、メキシコの住民と海外からの旅行者がメキシコ国内で均等に接触し、旅行者とメキシコ住民の間の感染リスクには差がないなどの仮定に基づく。

 旅行者の平均滞在日数を6日とすると、4月末までのメキシコの感染者は3万2000人、滞在日数が12日なら1万8000人と推定された。信頼性の高い旅行期間データが、メキシコへの旅行者の平均滞在日数は9日と報告していたため、これに基づいて感染者数を計算したところ、2万3000人となった。

 09年4月30日までのメキシコ当局の発表では、確定例の9人、疑い例の92人が死亡していた。確定例と疑い例を合わせた致死率を求めると、滞在が6日であれば0.32%、12日なら0.55%、9日なら0.44%となった。確定例に限定すると、それぞれ0.03%、0.05%、0.04%だった。

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