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Arch Intern Med誌から
インフルエンザワクチン不足時は半量接種も可能
18~49歳の健常人で標準用量に劣らぬ免疫誘導能

 3価インフルエンザワクチンは、有効で費用対効果も高いとして、広く接種が推奨されている。だが、もし十分な供給がなかった場合にはどう対処すべきなのだろうか。

 米国Walter Reed Army Medical CenterのRenata J. M. Engler氏らは、成人を対象に、3価インフルエンザワクチンの標準用量と2分の1用量の効果を比較する無作為化非劣性試験を行った。この結果、18~49歳の健康な男女には2分の1用量の接種も容認できること、さらに、女性なら50代でも2分の1用量を適用できる可能性があることを示した。詳細は、Arch Intern Med誌2008年12月8/22日号に報告された。

 現行の3価インフルエンザワクチンは、製造に時間を要するため、供給不足が発生した場合に備えて、最適な対処法を確立しておく必要性は高い。

 2001~2002年の流行期に行われた研究では、18~49歳の健常人では、2分の1用量のワクチンを接種した場合の免疫反応は通常用量に劣らないと報告されていた。

 著者らは、より確実な実用性の高いエビデンスを得るために、2004~2005年の流行期に、3価インフルエンザワクチンの筋注(日本では皮下注射だが米国は筋注)の免疫原性に対する用量と年齢、性別の影響を評価する前向きの単盲検無作為化試験を行った。

 2004年11月に被験者登録を実施。18~64歳の健康な成人を年齢(18~49歳と50~64歳)と性別で層別化した上で、無作為に通常用量または2分の1用量に割り付け、ワクチンを接種した。

 登録された人々に、過去3年間に3価インフルエンザワクチンの接種歴があるかどうかを尋ねた。接種前と接種後約21日の時点で採血し、赤血球凝集抑制抗体価を調べた。

 主要エンドポイントは、赤血球凝集抑制(HI)抗体価が40倍以上(感染防御が可能なレベル)の人の割合とし、非劣性のマージンは、HI抗体価が40倍以上になった人の割合の絶対差の95%信頼区間の上限が20%未満に設定した。

 2次エンドポイントとして、抗体価が接種前の4倍以上に上昇した人の割合、幾何平均抗体価、ワクチン接種後の有害事象、インフルエンザ様疾患の発生などについても比較した。

 あらかじめ、標準用量群に比べ、2分の1用量群の免疫反応が一定限界を下回る低い値を示した場合には、2分の1用量の適用は容認できないというラインも設定された。

 具体的には、(1)抗体価が40倍以上だった人の割合と、抗体価が接種前の4倍以上の人の割合については、95%信頼区間の上限が20%以上、(2)幾何平均抗体価の比(標準用量の抗体価を2分の1用量の抗体価で割った値)が1.5以上――となれば、2分の1用量では実質的な反応低下が生じると判断することにした。

 血清学的データの分析は、3年以内にワクチン接種歴があった1114人(92.6%)を対象に行った。2分の1用量の接種を受けたのは18~49歳の284人、50~64歳の276人。通常用量はそれぞれ274人と280人に適用された。

 ベースラインで、年齢が高いグループより低いグループの方が、各抗原に対する抗体価が高い傾向が見られた。抗体価40倍以上を示した人の割合が18~49歳で有意に高かったのは、A/H1N1に対する抗体(18~49歳では31.4%、50~64歳では19.4%、p<0.001)とB抗原に対する抗体(それぞれ47.3%と34.5%、p<0.001)。A/H3N2については、ほぼ同等(37.8%と42.3%)だった。

 主要エンドポイントである、ワクチン接種後21日目の抗体価が40倍以上だった人の割合は、以下の通り。

 18~49歳のグループでは、A/H1N1が標準用量群54.0%、2分の1用量群42.3%で、差は11.8%(95%信頼区間3.5-20.0、p=0.005)。A/H3N2は75.5%と67.3%で、差は8.3%(0.8-15.8、p=0.03)。Bは82.5%と77.5%で、差は5.0(-1.6から11.7、p=0.19)。

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