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Arch Intern Med誌から
急性気道感染への抗菌薬はプロカルシトニン値を指標に
2.5μg/L超を目安に投与すれば安全で有効

 抗菌薬の過剰な使用を回避するために、血液中のプロカルシトニン(PCT)濃度を指標とする方法が有望だ。スイスBasel大学病院のMatthias Briel氏らは、プライマリケアにおいて、主治医により抗菌薬使用が適当と判断された患者のPCT値を測定し、2.5μg/L超を示した患者のみに投与したグループと、医師の判断により投与したグループで、予後に差がないことを明らかにした。PCTを指標として用いることにより、抗菌薬の投与は72%減少したという。詳細は、Archives of Internal Medicine誌2008年10月13日号に報告された。

 プライマリケアにおける抗菌薬処方の理由として、最も多いのが急性気道感染だ。実際にはウイルス感染が原因である場合が多いにもかかわらず、抗菌薬が高頻度に用いられている。

 血液中のPCTは、全身性の細菌感染では高値を、ウイルス感染または炎症性疾患では低値を示すため、不必要な抗菌薬の処方を減らす指標として有望性が示されていた。著者らは既に、下気道感染で入院した患者を対象に、PCT値に基づくアルゴリズムを利用すれば、抗菌薬投与の頻度と期間の両方を減らせることを示している。

 そこで今回は、PCT値に基づいて抗菌薬投与の適否を判断する方法が、プライマリケアでも有効かどうか評価するために、オープンラベルの無作為化非劣性試験を実施した。

 Basel大学病院の近隣のプライマリケア医53人が試験に参加した。急性気道感染で、主治医が抗菌薬が必要と判断した成人患者458人を登録。

 主治医は、患者の診察を終えた時点で同大学病院に電話し、PCT値を指標とする抗菌薬投与(231人、平均年齢48歳)または標準的なアプローチ(224人、平均年齢48歳)のいずれに割り付けるかを尋ねた。

 さらに、すべての患者から採血し、同大学病院に血液標本を送付した。大学病院はPCT値を測定し、結果を主治医に告げた。標本を送付し結果を得るまでの時間は、道路事情などにもよるが2~4時間だった。

 PCT指標群に適用された治療アルゴリズムは以下の通り。PCT値が0.1μg/L未満なら、細菌感染はほぼあり得ないため抗菌薬は使用しない。0.1-0.25μg/Lでは、細菌感染の可能性は低いため、抗菌薬投与は推奨されない。0.25μg/Lを超えた患者には抗菌薬を投与する。

 主治医は測定値をもとに、既に帰宅した患者に電話で受けるべき治療を指示し、薬剤の入手を促した。

 なお、抗菌薬の投与を中止した患者については、6~24時間後にPCT値を再度測定して値が低下していることを確認した。

 追跡データは、割り付けから7日後に主治医が収集し、14日後と28日後には医学部の学生が電話で聞き取り調査を行い、入手した。

 興味の焦点は、予後を変えずに抗菌薬の使用を減じることができるかどうかにあったため、主要エンドポイントは、当初14日間に気道感染により日中の活動(仕事や娯楽)が制限された日数に設定された。両群間の差が1日以下であれば非劣性とあらかじめ決めた。

 2次エンドポイントは、抗菌薬が投与された患者の割合、投与期間、感染症の不快な症状の程度(「全くなし」の0から「非常に不快」の10まで、スコアで示した)、欠勤日数、14日以内の治療に起因する有害事象、28日時に気道感染の症状があったか再発していた患者の割合に設定した。

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