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Arch Intern Med誌から
心血管疾患2次予防のためのアスピリンとPPI併用の費用対効果は良好
安価なOTCなら広く費用対効果あり、処方薬ならハイリスク患者のみ

 心血管疾患の2次予防のために低用量アスピリンを用いた場合の上部消化管出血UGIB)リスクを低減するために、プロトンポンプ阻害薬PPI)を長期にわたって併用した場合、費用対効果は容認できる範囲に収まるのだろうか。米Michigan大学のSameer D. Saini氏らのシミュレーションの結果、年間コストが250ドルのOTCのPPIであれば、広範な患者で費用対効果は好ましく、年間コストが1400ドルになる処方薬のPPIを用いると、ハイリスク群のみ容認範囲内になることが示された。詳細は、Arch Intern Med誌8月11/25日号に掲載された。

 米国のガイドラインは、冠動脈疾患CHD)患者に対して、心血管イベント再発予防を目的とする低用量アスピリン(75~325mg)の長期的な使用を推奨している。アスピリンの使用は、患者のUGIBリスクを1人-年当たり0.25~1%上昇させる。

 無作為化試験や観察研究の結果は、PPIがこのリスクを低減する可能性を示しているが、生涯にわたるPPI併用の費用対効果は明らかではない。そこで著者らは、50歳以上のCHD患者が生涯アスピリンを単剤で、またはアスピリンとPPIを併用した場合の臨床転帰と経済的アウトカムを比較するためにマルコフモデルを作成した。費用対効果は、近年入手可能になった低価格のOTCのPPI(オメプラゾールなど)と、より高価な処方薬のPPI(エソメプラゾールラベプラゾールパントプラゾールなど)について算出した。

 アスピリン単剤群では、UGIBイベント発生時にのみPPIを投与するとし、併用群は、アスピリンとPPIを当初から併用して、UGIBイベント発生時にクロピドグレル+PPIに変更するとした。ベースケースは、心血管疾患の2次予防にアスピリンを使用する、65歳で、服薬遵守が良好、アスピリン治療に忍容性がある、UGIBの危険因子を持たない患者とした。

 著者らは、年齢に依存するUGIBリスクとUGIB関連死亡率を使用し、さらにアスピリン以外のUGIB危険因子の影響もモデルに組み入れた。低用量アスピリンのUGIBリスク、PPIによるUGIBリスク低減効果は、文献を基に算出した。また、低用量アスピリン使用者のUGIB危険因子に関する情報も文献から得た。一般に、年齢、UGIB歴、NSAID、ワルファリン、ステロイドの併用が独立した危険因子だった。

 低用量アスピリンの使用以外に危険因子を持たない患者を平均リスク群、それ以外の危険因子を保有する患者をハイリスクとし、1つ保有はリスク4倍、2つ保有は8倍とした。

 費用対効果の検討範囲は以下のように仮定した。開始年齢(65歳をベースケースとし、50歳から80歳まで)、UGIBリスク区分(平均リスクをベースケースとし、リスク8倍まで)、PPI有効性(ベースケースで出血リスク66%低減とし、25%から75%まで)、PPIの年間コスト(OTCの250ドルから処方薬の1400ドルまで)。

 経済的アウトカムは、コストと獲得余命1年(LYS)当たりの増分費用対効果比(ICER)に設定。コストは、アスピリン、PPIなどの薬剤費用とUGIBによる入院費用などを合計して推算した。

 費用対効果の指標は、支払意思額(willingness-to-pay :ある治療法がもたらす便益に対して、最大いくらまでなら支払うかを、その治療を受ける可能性のない人々に尋ねて得た回答)に設定。米国ではLYS当たり5万ドルといわれている。

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