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AIM誌から
α1-アンチトリプシン欠損症キャリアは肺癌リスク上昇
変異のない人に比べ1.7倍~2倍に

 遺伝病の一つであるα1-アンチトリプシン欠損症α1ATD)の原因となる変異をヘテロに持つキャリアの肺癌リスクは、変異のない人に比べ1.7倍~2倍上昇することが示された。米国Mayo ClinicのPing Yang氏らの報告で、詳細はArch Intern Med誌2008年5月29日号に掲載された。

 α1ATDの患者は日本には少ないが、米国では最も一般的な遺伝性疾患の一つだ。原因となる変異をホモに持つ人々は、若年で肺気腫を発症する。原因となる変異は、14番染色体のα1AT遺伝子上にあり、α1ATDレベルの減少をもたらすバリアントが70以上報告されている。それらのアレルをヘテロに持つキャリアの中には、キャリアであることに気付かないほど症状が軽い患者も少なくないが、喫煙などの発癌物質に対する感受性は上昇している可能性がある。

 そこで著者らは、α1ATDと、既知の肺癌危険因子であるCOPD、喫煙という3要因と肺癌との関係を調べるケースコントロール研究を行った。

 6年間に1856人の肺癌患者を登録するとともに、個々の患者に性別や年齢がマッチするコントロールを同じ地域に住む健常人の中から選び1585人を登録した。また、第2のコントロールとして、患者の兄弟で癌罹患のない902人を登録した。

 癌の家族歴、他の肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎、COPD、結核、喘息、アレルギー、石綿症、珪肺症、その他)の既往、喫煙歴などについて詳細な情報を得た。生涯の喫煙本数が100本未満を喫煙歴なしに分類し、同時に非喫煙者の受動喫煙歴や環境喫煙(ETS)歴についても尋ねた。喫煙者は、軽度(20箱-年未満)、中度(20~40箱-年)、重度(40箱-年超)に分類した。

 α1ATDアレルのタイプが検査できたのは、肺癌患者のうちの1443人と、非血縁コントロール797人、患者の兄弟902人だった。患者の13.4%、非血縁コントロールの7.8%がキャリアで、両群間の差は有意だった(P<0.001)。

 最初に、患者と非血縁コントロール1585組を対象に多変量ロジスティック回帰分析を行い、肺癌と喫煙歴、COPD、α1ATDキャリアかどうかの関係を評価した。まず、α1ATDを危険因子に加えず、COPDと喫煙のそれぞれについて肺癌のオッズ比を推測。COPDのオッズ比は6.4(95%信頼区間4.8-8.3)、喫煙歴がない者に比べ重度喫煙者のオッズ比は9.4(6.1-14.5)となった。喫煙歴なし群と比べたETSのリスク上昇は非有意だった(1.2、0.8-1.9)。

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