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AIM誌から
高齢者はメタボよりも高血圧と空腹時高血糖に注意すべき
収縮期血圧150mmHg以上、空腹時血糖110mg/dL以上で有意なリスク上昇(5/27 訂正)

2008/05/27
大西 淳子=医学ジャーナリスト

 メタボリックシンドローム(以下、メタボと略)自体よりも、メタボの診断基準の構成要素に含まれる空腹時高血糖高血圧が、高齢者の死亡の予測因子として有効であることが、米国の高齢者を対象とする前向きコホート研究の結果、明らかになった。米国Brigham and Women’s HospitalのDariush Mozaffarian氏らの報告で、詳細はArch Intern Med誌2008年5月12日号に掲載された。

 米国で用いられているNCEP-ATP III基準では、5つの危険因子(腹部肥満トリグリセリド高値HDL-c低値高血圧耐糖能異常)を指標とし、3項目以上該当すればメタボと判定される。IDF(国際糖尿病連盟)とWHOもほぼ同様の基準を使用している。

 中年層を主な対象とする研究では、メタボと総死亡を含む転帰不良の関係が示されているものの、高齢者については十分なデータがなかった。そこで著者らは、高齢者を対象に、NCEP-ATP IIIに基づいて診断されるメタボと、これを構成する個々の危険因子の死亡リスクとの関係を評価した。

 米国で1989~1993年に行われた、65歳以上の高齢者の心血管リスクを調べた集団ベースの多施設試験Cardiovascular Health Studyの被験者で、心血管疾患CVD)の既往がなかった4258人を2004年まで追跡し、CVDと非CVDによる死亡を調べた。

 ベースラインでメタボ基準を構成する5つの危険因子について測定が行われた。ベースラインの平均年齢は73歳。男性の31%、女性の38%がメタボと判定された。個々の危険因子の存在頻度は、高血圧が最も高く、腹部肥満、空腹時高血糖、トリグリセリド高値、HDL-c低値と続いた。

 15年間の追跡で、2116人が死亡。多変量調整Cox比例ハザード分析を行ったところ、メタボ群の死亡率は非メタボ群に比べ22%高かった(相対リスク1.22、95%信頼区間1.11-1.34)。

 死亡リスク上昇は、空腹時高血糖(110mg/dL以上または治療されている糖尿病患者)があるメタボ患者(相対リスク1.41、1.27-1.57)、高血圧があるメタボ患者(1.26、1.15-1.39)で高かった。空腹時高血糖がないメタボ患者では相対リスク0.97(0.85-1.11)、高血圧がないメタボ患者では0.92(0.71-1.19)で、リスク上昇は見られなかった。個々の危険因子について分析すると、高血圧と空腹時高血糖のみが死亡率上昇を予測できた。


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