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AIM誌から
大気汚染は深部静脈血栓症リスクを高める
PM10の長期曝露は血栓形成を引き起こす

 大気汚染がヒトの静脈血栓症に影響を及ぼすかどうか評価した初めての研究で、空気力学的直径が10μm未満の粒子状物質(PM10)が10μg/立方メートル増加すると、深部静脈血栓症DVT)リスクが70%上昇することが示された。米国Harvard公衆衛生大学のAndrea Baccarelli氏らの報告で、詳細はArch Intern Med誌2008年5月12日号に掲載された。

 粒子状物質の曝露は、短期的、長期的な心疾患、脳卒中リスクの上昇を引き起こすと報告されている。これは、粒子状物質の曝露により、凝固能の亢進が誘導され動脈血栓症が発生するためと考えられている。先ごろ
、PM10の曝露がプロトロンビン時間の短縮を引き起こすことを明らかにした著者らは、PM10の長期曝露は血栓形成を引き起こす危険性があると考え、深部静脈血栓症リスクとの関係を調べるケースコントロール研究を行った。

 イタリアのロンバルディア地方在住で、1995~2005年に下肢DVTと診断された患者871人(男性420人、女性451人)と健常人コントロール1210人(男性490人、女性720人)を分析した。患者の170人(19.5%)は症候性の肺塞栓症を合併していた。761人(84.4%)は初回DVT、110人(12.6%)はDVTの再発を経験していた。

 ケースはコントロールに比べ、BMIが高く(P<0.001)、経口避妊薬またはホルモン補充療法を受けている割合が多く(P<0.001)、血液凝固第V因子ライデン変異(P<0.001)、プロトロンビンG20210変異(P<0.001)、抗凝固因子の遺伝的な欠損(P<0.001)、高ホモシステイン血症(P<0.001)、何らかの血栓性素因(P<0.001)の頻度が有意に高かった。

 PM10曝露の程度は、ロンバルディア地方を9地域に分け、被験者の居住地域を判定。全域に広がって存在する53カ所の観測点に設置された大気汚染監視装置の記録に基づく地域ごとのPM10平均値を基に曝露レベルを推算した。患者はDVT診断前、コントロールは検診前1年間について居住地域を尋ねた。

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