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製薬企業の資金提供による研究にはバイアスが存在
副作用が見られても楽観的な臨床解釈を増やす

 薬剤の安全性に関するエビデンスは、臨床試験への資金提供者が誰かによって変わる可能性がある。吸入ステロイド薬の有害事象に関して、製薬企業からの資金を得て行われた研究(PF)と、製薬企業の資金なしに行われた研究(NoPF)の間で、データとその解釈を比較した結果、予想通りバイアスの存在が明確に示された。スペインLa Fe小児病院のAntonio Nieto氏らの報告で、詳細はArch Intern Med誌2007年10月22日号に報告された。

 吸入ステロイド薬は、炎症性呼吸器疾患、特に喘息患者の治療において重要だが、副作用がないわけではない。これまでに得られているエビデンスを基に、米国では吸入ステロイド薬製品には警告の記載が求められているが、そうした表示は患者に対する十分な投与を妨げ、予後を悪化させる可能性があるという批判もある。

 では、エビデンスは信頼できるものだろうか。製薬企業の資金を得て行われた研究の結果にはバイアスが存在するとの報告があることから、著者らは、吸入ステロイド薬の副作用に関する研究とその研究資金の拠出に焦点を当て、文献データベースからPF 275件、NoPF 229件を選出した。

 そしてポワソン回帰モデルを用いて多変量調整有病比(prevalence ratio:PR)を求めた。吸入ステロイド薬について統計学的に有意な副作用を報告していた研究は、NoPFは65.1%だったが、PFでは34.5%と少なかった(有病比0.53、95%信頼区間0.44-0.64)。

 PF 275件のなかで製薬企業のみから資金を得ていた研究は226件。有意な副作用を報告していたのはそのうちの26.5%だった。しかし、製薬企業以外からも資金を得ていた49件の研究では、その頻度は71.4%と高かった。またNoPFでは、非営利組織からの資金で行われた74件の研究の73.0%が有意な副作用を報告。資金源が明記されていなかった研究155件では、その頻度は61.3%だった。

 さらに試験設計に違いがあるかどうか調べた。NoPFに比べPFには、無作為化試験、多施設試験、被験者に成人を含む、鼻炎について研究、並行群間試験、前向き比較試験、有効性評価が主な目的、より低用量を使用、被験者数がより多く追跡期間はより短い、喘息患者を対象とする研究は少ない、といった傾向が見られた。

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