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BMJ誌から
急性冠症候群疑い患者にCT冠動脈造影を急ぐ必要はない
標準的なケアで経過観察する群とのRCTで1年後のアウトカムに有意差なし

 英国Edinburgh大学のAlasdair J Gray氏らは、急性冠症候群が疑われる胸痛で救急受診した患者に対して、すぐにCT冠動脈造影(CTCA)を実施した場合と標準的なケアのみを行った場合の臨床アウトカムを調べるランダム化比較試験を行い、早期のCTCAで1年後までの死亡と非致死的心筋梗塞を減らすことはできなかったと報告した。結果は2021年9月29日のBMJ誌電子版に掲載された。

 救急受診した胸痛患者に対する最近のガイドラインでは、リスクスコアを評価して急性冠症候群が疑われる場合は精査を進めるが、スコアが低いか中等度の場合は経過観察を推奨している。リスクが低い患者にCTCAを実施すると、退院が早まり入院日数が短くなるという報告があるが、リスクが低い患者には診察のみでCTCAの追加は不要だという意見もある。

 また、リスクが中等度の患者に対するCTCAのメリットは確立していない。CTCAにより、すぐに適切な治療を開始して臨床アウトカムの改善につながる場合や、侵襲的な冠動脈造影を回避して入院期間を短縮できる場合が考えられるが、CTCAの結果が侵襲的冠動脈造影の実施やその後の治療選択を左右しないのであれば、不要なコストとリスクを増やしている可能性もある。そこで著者らは、救急部門を受診した急性冠症候群疑い患者や暫定的に診断された患者に対して、早期にCTCAを実施した場合の管理とアウトカムに及ぼす影響を検討することにした。

 組み入れ対象は、胸痛を訴えて英国の37病院を受診した成人の救急患者で、急性冠症候群が疑われるか、急性冠症候群と暫定診断された患者、冠動脈疾患の病歴がある患者、心筋トロポニン値が上昇しているか心電図に異常が見られる患者とした。

 条件を満たし同意が得られた患者は、1対1の割合で、標準的なケアのみの群と早期にCTCAを実施する群にランダムに割り付けた。CTCAは心電図に同期させ64列以上の機種で行い、心拍数を抑制し、ニトログリセリンを舌下投与して実施した。検査結果は、冠動脈疾患なし(断面の狭窄10%未満)、軽度の閉塞(10~49%)、中等度の閉塞(50~70%)、冠動脈閉塞疾患(70%を超える狭窄または左冠動脈主幹部の50%を超える狭窄)に分類した。
 主要評価項目は、1年後までの総死亡と、タイプ1(自然発生)かタイプ4b(ステント血栓症)の非致死的心筋梗塞に設定した。主な副次評価項目は、死因(冠疾患または心血管疾患)と心筋梗塞などとした。

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