日経メディカルのロゴ画像

BMJ誌から
若い心不全患者ほど危険因子の影響が大きい
絶対リスクは高齢者より低いが、相対リスクは若年者が高い

 シンガポールNational Heart Centre SingaporeのJasper Tromp氏らは、Framingham Heart Studyなど既存の大規模コホート研究を利用して、心不全発症に対する修正可能な危険因子は患者の年齢によって影響の大きさに差があるのかどうかを検討し、高齢者に比べ若年者の発症率は低いものの、若い心不全患者ほど高血圧や糖尿病、喫煙といった危険因子の影響が大きかったと報告した。結果は2021年3月23日のBMJ誌電子版に掲載された。

 成人の5人に1人が、生涯のうちに心不全を発症する可能性がある。ほとんどは65歳以上の患者に起こるが、先頃デンマークとスウェーデンで行われた研究では、若い世代の心不全発症率の上昇が見られている。スウェーデンの徴兵制度のための登録を利用した研究では、若い世代における肥満者の増加が、心不全発症率の上昇に関係していることが示唆されている。そこで著者らは、心不全の新規発症に関連する危険因子の影響が年齢によって異なるかどうかを検討するためのコホート研究を計画した。

 今回は、Framingham Heart Study(FHS)、Prevention of Renal and Vascular End-stage Disease Study(PREVEND)、Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis(MESA)という3件の研究データを利用することにした。FHSオリジナルコホートの第16回調査(1979~82年)と第24回調査(1995~98年)、FHS子孫コホートの第2回調査(1979~83年)と第6回調査(1995~98年)、PREVENDの第1回調査(1997~98年)、MESAの第1回調査(2000~02年)で調べた患者のデータを分析対象にした。登録時点で既に心不全だった患者や、共変数に関する情報が欠落した患者などは除外した。どのコホートでも、ベースラインの評価から15年以内に発症した心不全を追跡した。参加者は年齢により、55歳未満(若年)、55~64歳(中年)、65~74歳(年長)、75歳以上(高齢)に分類した。

 ベースラインで健康状態の詳細な評価を行い、危険因子の条件を統一した。BMIは30以上を肥満と規定し、血圧は座位で2回測定し平均値で評価した。糖尿病は、空腹時血糖126mg/dL以上、随時血糖200mg/dL以上、または血糖降下薬の使用で判定した。推定糸球体濾過率(eGFR)はCKD-Epi式から計算した。心房細動は病歴と心電図で確認した。心不全は左室駆出率が50%以上のHFpEFと、50%未満のHFrEF、左室機能評価ができなかった未分類に整理した。

この記事を読んでいる人におすすめ