日経メディカルのロゴ画像

BMJ誌から
前十字靱帯断裂は早期に手術するべきか?
リハビリ後に必要なら再建術を適用すると2年後の差は小さい

 オランダErasmus大学医療センターのMax Reijman氏らは、急性の前十字靱帯(ACL)断裂が起こった患者を対象に、早期に再建手術を行った場合と、3カ月間のリハビリ後に再建手術を行った場合の、24カ月後のアウトカム(症状、膝の機能、スポーツ参加能力)を比較するオープンラベルのランダム化比較試験を行った。早期再建術群の方がアウトカムは良好だったものの、臨床的に意義のあるレベルまで両群の差は大きくなかった。また、当初リハビリを行った患者は、半数が手術を回避できていたと報告した。結果は2021年3月9日のBMJ誌電子版に掲載された。

 ACL断裂は一般的な急性外傷で、発生率は10万人年当たり49~75人と報告されている。10年以上前に行われたKANON試験では、ACL断裂患者の半数以上が、手術しなくても運動療法により回復することが示されていた。しかしそれ以降も再建術の適用は増加している。手術か運動療法かに関わらず、ACL断裂に対する治療は、発症後すぐに実施する必要がある。治療法の選択は患者にとって重要なため、著者らは改めてエビデンスを構築することにした。KANON試験では「Knee Injury and Osteoarthritis Outcomeスコア」を用いてアウトカムを評価していたが、著者らはより実用的とされている「International Knee Documentation Committee(IKDC)スコア」を用いることにした。

 The Conservative versus Operative Methods for Patients with ACL Rupture Evaluation(COMPARE)試験は、オランダの病院6施設で実施された。参加者は2011年5月から2016年4月までに6施設を受診した患者から募集した。組み入れ対象は、年齢は18~65歳で、初めて急性のACL断裂を起こした患者で、試験参加に同意が得られた場合とした。対側の膝にACL断裂の病歴がある人や下肢の動きに影響を与える疾患がある人などは除外した。

 条件を満たした患者を、早期に再建術を適用するグループと、当初はリハビリを行いその後希望する患者に再建術を行うグループに、ランダムに割り付けた。早期手術群の患者には割り付けから6週以内に手術が計画された。手術は10年以上の経験がある6施設の整形外科医が担当し、術式は医師に任せた。術後は、機能的なコントロールが可能になるまで理学療法施設に紹介した。リハビリ群の患者は、最短でも3カ月間は理学療法士の監督下で理学療法に取り組んでもらった。その後に不安定性が持続している患者や、望ましい活動レベルに達していない患者で、本人が希望する場合に再建術を実施した。

 主要評価項目は、患者が自覚する症状、膝の機能、スポーツに参加する能力に関する患者の認識とし、24カ月を経過した時点でIKDCスコア(高スコアほど良好で最適値が100)を用いて評価した。副次評価項目は、Knee Injury and Osteoarthritis Outcomeスコア、Lysholmスコア、Tegnerスコアによる運動強度レベル、治療に対する満足度、重度の有害事象などについて評価を行った。患者にはベースラインと12カ月後、24カ月後に外来を受診してもらった。また、3カ月後、6カ月後、9カ月後には質問票に回答してもらった。

この記事を読んでいる人におすすめ