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BMJ誌から
HPVワクチンは重篤な有害事象を増やさない
韓国の大規模コホート研究とセルフコントロール研究

 韓国成均館大学校のDongwon Yoon氏らは、2017年に韓国でHPVワクチン、または別のワクチンを接種した11~14歳までの少女約44万人を対象に、接種から1年間の重度有害事象の発症率を検討したところ、HPVワクチン接種者に有害事象の増加は見られなかったと報告した。結果は2021年1月29日のBMJ誌電子版に掲載された。

 韓国では2016年6月から、2価または4価のHPVワクチンの2回接種が始まり、2018年には接種率が87.2%に達した。しかし韓国でも、子どもにHPVワクチンを接種させたくないと考えている親が存在し、そのうちの73.5%は重篤な有害事象の発生を心配していることを示した調査結果がある。そうした不安を減らすためには、韓国民に対する安全性を示した質の高いエビデンスが必要だ。そこで著者らは、Korea Immunization Registry Information Systemと、National Health Information Databaseを利用した大規模なコホート研究を計画した。

 対象は、2017年にワクチン接種対象年齢(11~14歳)で、HPVワクチンの接種を受けていた少女と、対照群として2017年にHPVワクチンは受けていないが、同じ年代の少女が接種対象で、安全性が十分に示されている、日本脳炎ワクチンと3種混合ワクチン(破傷風、ジフテリア、百日咳)の接種を受けていた少女を選んだ。有害事象を調べるために、2017年1月から2019年12月までの受診情報を照合した。初回接種前に、悪性腫瘍、先天性疾患、新生児疾患の病歴がある少女は除外した。

 HPVワクチンの接種と、以下の33種類の重篤な有害事象の関係を検討した。内分泌系(グレーブス病、橋本甲状腺炎、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、1型糖尿病)、消化器系(クローン病、潰瘍性大腸炎、消化性潰瘍、膵炎)、心血管系(レイノー病、静脈血栓塞栓症、血管炎、低血圧)、筋骨格系および全身性(強直性脊椎炎、ベーチェット症候群、若年性関節炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス)、血液系(特発性血小板減少性紫斑病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)、皮膚系(結節性紅斑、乾癬)神経系(ベル麻痺、てんかん、ナルコレプシー、麻痺、片頭痛、ギランバレー症候群、視神経炎、神経痛と神経炎、頭蓋内出血、錯体外路系疾患と運動障害)、結核。なお、コホート組み入れ前の1年間に、これらの疾患を経験していた少女も除外した。

 交絡因子候補として、年齢、居住地域、健康保険の種類、世帯収入に加え、コホート組み入れ前1年間の貧血も追加した。

 コホート研究の主要評価項目は、ワクチン接種から1年間に起こった有害事象で、10万人・年当たりの発症率を推定した。HPVワクチンは2回目の接種から1年間とした。また2次解析としてHPVワクチン接種者のみを対象にして、90日間のウォッシュアウト期間を挟んだセルフコントロールリスク比較も行った。こちらはHPVワクチン接種から1年間と、ウォッシュアウト期間を除く次の1年間の有害事象発症率を比較した。

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