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BMJ誌から
SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の特徴比較
実用的なガイドライン作成を目標にしたネットワークメタアナリシス

 ニュージーランドOtago大学Suetonia C Palmer氏らは、心血管リスクと腎臓病リスクが様々な2型糖尿病患者に対して、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬がもたらす利益と害の大きさを評価するためにネットワークメタアナリシスを行い、どちらの薬も他の糖尿病治療薬と併用すると総死亡率、心筋梗塞、腎不全などのリスクが下がるが、有害事象を含むその他のアウトカムには違いが見られたと報告した。結果は2021年1月13日のBMJ誌電子版に掲載された。

 SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬は、心血管リスクが高い2型糖尿病患者を対象にしたランダム化比較試験で、心血管死亡と非致死的心血管合併症のリスクを減らすことが示されていた。しかし、これら薬の絶対的な利益の大きさは明らかではなかった。そこで著者らは心血管疾患リスクと腎臓病リスクが様々な2型糖尿病患者に対する、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の影響を明らかにするために、ネットワークメタアナリシスを計画した。

 この研究は、BMJ Rapid Recommendationsプロジェクトの一環として、MAGIC Evidence Ecosystem Foundationと共同で行われた。目的は、新たに提示されたエビデンスについて検討し、それらを利用するための信頼できる臨床ガイドラインを速やかに提供することにあった。

 対象にする論文は、2016年3月から2020年8月11日までにMedline、Embase、コクランセントラルに登録されていた文献から抽出した。条件は成人の2型糖尿病患者に対するランダム化比較試験で、SGLT2阻害薬またはGLP-1受容体作動薬を対象に選び、両者の比較、他の血糖降下薬と比較、2型糖尿病の標準治療と比較、プラセボと比較、のいずれかを行っており、24週間以上追跡してアウトカムを調べた研究とした。

 集めるアウトカムデータの種類は、総死亡率、心血管死亡率、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、腎不全、心不全による入院、重症低血糖、失明、介入が必要な眼疾患、健康関連QOL、体重、下肢切断、神経因性疼痛、糖尿病ケトアシドーシス、重篤な高血糖、性器感染症、フルニエ壊疽、重症消化器イベント、膵臓癌、膵炎、と規定した。

 試験に参加していた患者は、リスクに基づいて以下の5群に分類した。心血管危険因子を持たないか保有していても3つ未満の「極めて低リスク」群、心血管危険因子を3つ以上保有する「低リスク」群、心血管疾患の病歴がある「中リスク」群、慢性腎臓病がある(eGFRが45~75mL/分/1.73m2でアルブミン尿が300mg/g超、またはeGFRが15~45mL/分/1.73m2)「高リスク」群、心血管疾患と慢性腎臓病の両方がある「極めて高リスク」群。

 頻度論に基づく変量効果モデルを用いたネットワークメタアナリシスを実施し、いずれかの薬を5年間投与した場合の患者1000人当たりの絶対リスクを推定した。エビデンスの確実性の評価にはGRADEアプローチを用いた。

 検索でヒットした2万3185件の記録のうち、条件を満たすフルテキストの研究論文は764件見つかった。それらの試験には延べ42万1346人が参加していた。これらの研究では、11種類の血糖降下薬、プラセボ、標準治療を比較していた。参加者の平均年齢は中央値で57.1歳、男性の割合は55.6%だった。ベースラインの平均HbA1c値の中央値は8.1%、BMIは30.1だった。SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬は、大半が既存の糖尿病治療薬と共に投与されていた。

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