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BMJ誌から
限局性前立腺癌患者のQOLを15年後まで追跡
対照群の一般男性と比較した治療法別のQOLの変化

 オーストラリアCancer Council New South WalesのCarolyn G Mazariego氏らは、限局性前立腺癌と診断された患者の15年後までのQOLの変化を、適用された治療法別に評価し、年齢がマッチする前立腺癌ではない人と比較して、全般的に積極的な治療を受けた患者のQOLは対照群に比べて悪化しやすかったと報告した。結果は2020年10月7日にBMJ誌電子版に掲載された。

 限局性前立腺癌(ステージT1aからT2cで、リンパ節転移、遠隔転移がない)患者の5年生存率はほぼ100%で、全てのステージの患者の10年生存率は98%、15年生存率は96%と非常に高い。ゆえに、治療の選択においては、治療後のQOLの重要性が高い。限局性前立腺癌患者の短期的なQOLを評価した研究は、これまでにも、数多く行われている。しかし、異なる治療が適用された患者のQOLを10年以上にわたって調べた研究は、わずかしか無かった。

 著者らは、オーストラリアのNew South Wales州で、2000年10月から2002年10月までに、T1からT4の前立腺癌と診断された70歳未満の患者を癌登録から選出し、住民ベースの前向きコホート研究New South Wales Prostate Cancer Care and Outcomes Study(PCOS)への参加を呼びかけた。分析の対象としたのは、70歳未満で局在性前立腺癌と診断された3195人のうち、参加に同意が得られ、診療記録が確認できた1642人の患者。対照群には年齢と居住地域が患者とマッチして前立腺癌と診断されたことがない男性786人を1対4の割合で選び出した。このうち参加に同意が得られ、ベースラインの調査に応じてくれた495人を追跡の対象にした。

 前立腺癌の患者は、受けた治療に基づいて、PSA監視療法/待機療法群(その後、積極的な治療を受けた患者も含む)、手術群(神経温存または非温存前立腺全摘除術)、遠隔照射法/高線量率小線源療法群、抗アンドロゲン療法群(±遠隔照射法)、低線量率小線源療法群に分類した。

 主要評価項目は、15年間に7回にわたって自己申告された、前立腺癌特異的なQOLと全般的な健康関連QOLに設定した。前立腺癌特異的なQOLについては、主にUCLA Prostate Cancer Index(UCLA-PCI)とExpanded Prostate Cancer Index Composite(EPIC-26)に共通の5領域;尿失禁、排尿負担感、性機能、性負担感、排便負担感のスコアの長期的な変化を調べた。健康関連QOLの精神的な側面と身体的な側面は、SF-12を用いて評価した。それぞれの評価指標に標準スコアリングアルゴリズムを適用して、いずれも最高値を100ポイントとした。低スコアは、QOLが不良であることを意味する。

 QOL評価は、診断時と1年後、2年後、3年後、5年後、10年後、15年後に行った。スコアを対照群と比較して、調整平均差を算出した。臨床的に意義のある調整平均差は、QOL評価の臨床における最小重要差(Minimally Important Difference; MID)を用いて推定した。MIDは、ベースラインの患者群と対照群を合わせた集団の標準偏差の±3分の1の範囲と定義した。

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