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BMJ誌から
カナグリフロジンは下肢切断を増やすか?
65歳以上で心血管疾患がある患者では、GLP-1受容体作動薬よりも有意に増加

 米国Harvard大学医学部のMichael Fralick氏らは、米国の大規模データベースを利用して、2型糖尿病患者で新たにカナグリフロジンを処方された患者と、GLP-1受容体作動薬を処方された患者を対象に、患者の年齢と心血管疾患の有無で4群に分けたコホートを追跡して下肢切断リスクを検討したところ、カナグリフロジンの下肢切断リスクが有意に上昇するのは65歳以上の心血管疾患がある患者だったと報告した。結果はBMJ誌電子版に2020年8月25日に掲載された。

 SGLT2阻害薬のカナグリフロジンは、血糖降下作用に加えて、心筋梗塞、脳卒中、心血管死亡のリスクを低減する。さらには、心不全と腎不全による入院を減らし、収縮期血圧を下げ、体重減少を誘導し、蛋白尿リスクを下げることも示されている。しかし、有害事象の報告もあり、その1つがCANVAS試験で認められた下肢切断リスクの上昇だった。CANVASが分析対象とした患者は、それまでに行われたカナグリフロジンに関する臨床試験に比べ高齢で、心血管疾患の有病率が高かったことから、こうした患者特性が下肢切断リスクの上昇に関係した可能性が考えられた。なぜなら、これらは、糖尿病患者における下肢切断の強力な危険因子であるからだ。

 著者らは、カナグリフロジンと下肢切断の関係を明らかにするために、この薬剤を新たに処方された成人患者の下肢切断リスクを、年齢と心血管疾患を考慮して推定する住民ベースのコホート研究を計画した。

 この研究では、3種類の大規模データベース(Optum Clinformatics Data Mart Database、IBM MarketScan、Medicare fee-for-service)を利用した。2013年3月29日(カナグリフロジンの承認日)以後に、新たにカナグリフロジンまたはGLP-1受容体作動薬での治療を開始した2型糖尿病患者を抽出した。処方の新規性は、どちらかの薬を始めて処方された日から180日前までの処方データを調べて担保した。交絡因子を補正するために、カナグリフロジン開始者とGLP-1受容体作動薬開始者の中から傾向スコアがマッチする組み合わせを、1対1の割合で選び出した。

 その上で、患者の年齢と心血管疾患の有無から、以下の4群に分類した。
グループ1:ベースラインで心血管疾患がない65歳未満の患者
グループ2:ベースラインで心血管疾患がある65歳未満の患者
グループ3:ベースラインで心血管疾患がない65歳以上の患者
グループ4:ベースラインで心血管疾患がある65歳以上の患者

 主要評価項目は、下肢切断が必要な手術の発生とした。

 3種類のデータベースから、どちらかの薬で新たに治療を開始した2型糖尿病患者は49万6642人見つかった。傾向スコアをマッチさせた組み合わせは、グループ1が8万640組、グループ2が1万763組、グループ3が4万4522組、グループ4が1万9495組を選び出した。合計で15万5420組の下肢切断リスクを調べた。

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