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BMJ誌から
小児水痘患者の家族は帯状疱疹になりにくい
英国の研究で成人の帯状疱疹発症リスクが約30%減少

 英国London大学衛生熱帯医学大学院のHarriet Forbes氏らは、家族に水痘にかかった小児がいる場合、成人の同居家族の帯状疱疹リスクに与える影響を検討するために自己対照ケースシリーズ研究を行って、水痘患者の曝露から20年後まで、帯状疱疹の発症リスクは有意に低下するが、30%減少程度に留まると推定した。結果はBMJ誌電子版に2020年1月22日に掲載された。

 小児に対する水痘ワクチンの接種率が上昇すると、成人が環境中の水痘ウイルスに曝露する機会が減少し、外因性のブースター効果が得られにくくなって、帯状疱疹発症者が増加することが懸念されていた。2007年に水痘ワクチンを2回接種する定期接種プログラムを導入した米国では、実際に帯状疱疹の発症率が増加したことが報告されている。一方、1回接種のプログラムを導入したが、まだカバー率の高くないオーストラリアでは、帯状疱疹の増加は報告されていない。

 そこで著者らは、家庭内で小児が水痘にかかった場合、成人の家族にブースター効果をもたらして、帯状疱疹の発症リスクが減少するかを検討するため、自分自身を対照群にするケースシリーズ研究を計画した。

 参加者の抽出には、英国のプライマリケア臨床データを登録しているUK Clinical Practice Research Datalink(CPRD)を利用した。CPRDに病院統計データベースが接続して、統合データが利用可能になった1997年4月1日から2018年7月31日までに記録された全成人患者から、初めて帯状疱疹と診断された成人で、同居している家族の小児に水痘の記録がある人を選び出した。

 この研究の観察期間は、CPRDに登録されて12カ月後、18歳の誕生日、もしくは1997年4月1日、のいずれか最も早い時点から開始した。観察終了は、患者死亡、受け持ちGPの変更、最後のデータ登録日、追跡終了日の2018年7月31日、のどれかが最初に起こった時点までとした。

 小児の水痘発症後の成人家族の帯状疱疹発症率と、観察開始から水痘発症以前、または20年経過後をベースライン期間として帯状疱疹発症率を比較することにした。ウイルスの潜伏期間等を考慮して、小児が水痘を発症する前の60日間を暴露前期間として、ベースラインから区別した。一方、小児が水痘を発症してから20年後までをブースト効果が得られる期間と考え、水痘から2年未満、2~5年未満、5~10年未満、10~20年未満に区分した。
 帯状疱疹のリスクに直接関連しないネガティブコントロールとして、ロタワクチンが定期接種になった2012年以前の小児の急性胃腸炎患者を選び、発症者への曝露とその後の帯状疱疹との関係を検討した。

 主要評価項目は、最初に起こった急性帯状疱疹エピソードとした。水痘の小児患者に曝露してから20年間の帯状疱疹の相対的発症率を、ベースライン期間と比較した。この研究では、対象者本人が対照群でもあるので、共変数は年齢、年月日、季節とした。なお、帯状疱疹が多い季節は冬から春とされている。免疫抑制状態にあるかどうかも調べた。

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