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BMJ誌から
ICUの患者は消化管出血を予防するべきか?
ハイリスク患者には予防投与が有効だが肺炎リスク上昇の恐れも

 ICUに入院している重症患者の消化管出血リスクは高い。多くの診療ガイドラインが消化管出血予防策の実施を推奨しており、プロトンポンプ阻害薬(PPIs)やヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RAs)が投与されている。中国首都医科大学のYing Wang氏らは、それらの有効性と安全性を比較する系統的レビューとメタアナリシスを行い、PPIsとH2RAsは出血リスクが高い患者には有益だが、出血リスクが低い患者では肺炎リスクの増加による害の方が大きくなる可能性があると報告した。結果は、BMJ誌電子版に2020年1月6日に掲載された。

 ICU入院患者に対する消化管出血予防については、PPIsの有効性を示すデータがある一方で、院内肺炎やC. difficile感染症の増加に対する懸念も指摘されており。ルーチンに使用すべきかどうかは結論が出ていない。そこで著者らは、重症患者に対する消化管出血予防目的のPPIs、H2RAs、スクラルファート投与を行う場合の利益と害について、以前に行った研究に新しい報告データを追加して系統的レビューとネットワークメタアナリシスを行うことにした。

 2017年1月~2019年3月までに、Medline、PubMed、Embase、Web of Science、コクランセントラル、国際臨床試験登録に発表されていた研究から、消化管出血リスクの高い重症の成人患者を対象として、PPIs、H2RAs、スクラルファートの予防的投与の有効性と安全性を薬剤同士で、またはプラセボや予防投与なしの場合と比較したランダム化試験を選び出した。さらに、過去2年間の学会抄録(Digestive Disease Week、United European Gastroenterology Week、European Society of Intensive Medicine、Society of Critical Care Medicine)からも該当する研究を探した。

 評価項目として、死亡率、臨床的に重要な消化管出血(ヘモグロビンの顕著な低下、輸血や手術が必要な出血など)、C. difficile感染症、顕性消化管出血(吐血、メレナ、血便など)、ICU滞在期間、入院期間、機械的換気継続期間を取り上げた。

 検索でヒットした479件の文献のうち、フルテキスト論文が70件、組み入れ条件を満たした研究は18件見つかった。これに以前のネットワークメタアナリシスが対象にした54件の研究を加え、72件のRCTを分析対象とした。サンプルサイズは22~3298人で、合計では1万2660人の患者が参加していた。72件のうち65件がICUの患者を、2件は脳神経外科の患者、1件は劇症肝不全患者を対象にしていた。3件は重症患者とだけ規定していた。

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