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BMJ誌から
大気中のPM2.5濃度が高い日は入院が増える
中国184都市の大気汚染状況と心血管疾患入院数の分析

 中国の184都市の観測データを利用して、大気中の微小粒子状物質PM2.5(直径が2.5μm以下の微粒子)の濃度の上昇と、心血管疾患による入院の関係を検討した中国華中科技大学のYaohua Tian氏らは、PM2.5の濃度が上昇した日には脳出血を除く主要な心血管疾患の入院率が増加していたと報告した。結果はBMJ誌電子版に2019年12月30日に掲載された。

 大気汚染曝露は心血管系に悪影響を及ぼし、中でもPM2.5の影響は大きく、2015年には全世界で420万人の死亡に関係したと考えられている。大気汚染のより広範な影響を評価するために、死亡数に換えて用いられている指標が入院件数だ。著者らは、中国におけるPM2.5の短期的な曝露に関係する、主要な心血管疾患による入院のリスクを推定するために、時系列研究を計画した。

 中国では、民間医療保険はほとんど普及しておらず、3種類の公的保険がほとんどの国民をカバーしている。その1つである都市雇用者基本医療保険(Urban Employee Basic Medical Insurance;UEBMI)には、2016年末時点で2億8000万人が加入している。著者らは2014~17年のUEBMIの入院データと大気汚染濃度の関係を調べることとし、診断名の管理にICD-10コードを利用していた184都市を対象に、心血管疾患の原因別入院件数を集計した。対象疾患は、虚血性心疾患、心不全、不整脈、脳梗塞、脳出血とした。

 各都市のPM2.5濃度は、National Air Pollution Monitoring Systemのデータを調べた。各都市には1~17カ所の観測ステーションがあり、PM2.5、SO2、NO2、一酸化炭素、オゾンの濃度を観測している。ステーションでは毎日8時間観測を実施して、各ステーションの平均値をその都市の観測濃度にしている。

 最初にそれぞれの都市のPM2.5濃度と心血管疾患による入院の関係を調べた。時間差を考慮して、入院イベント当日のPM2.5濃度、入院イベント1日前や2日前のPM2.5濃度、入院当日と前日の平均PM2.5濃度など数通りのパターンを調べた。交絡因子になり得る共変数として、当日の平均気温、湿度、年月日、祝日、曜日を調べ、時間とは独立の患者側の変数として年齢、性別、併存疾患を補正要因に加えた。第2段階として、各都市のデータをランダムエフェクトモデルでプール化し、中国全体や地域別の影響を調べることにした。各都市の特性として、年間平均PM2.5濃度と標準偏差、年間平均気温と湿度、住民1人当たりのGNP、加入者の平均年齢、喫煙率を考慮することにした。

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