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BMJ誌から
減塩は有害な影響なく血圧を下げ、脳卒中リスクを低減
2件のメタ解析の結果から

 減塩血圧に及ぼす利益を確認し、血中の脂質量などに悪影響が見られるかどうかを検討した2件のメタ解析で、減塩が人々の健康に利益をもたらすことを示す結果が得られた。2本の論文は、BMJ誌電子版に2013年4月4日に掲載された。

成人、小児ともに血圧低下
 ナトリウムの1日の最小必要量は200~500mgだが、実際には多くの国で世界保健機関WHO)などが推奨する上限の2g/日(食塩に換算すると5g/日)を超えるナトリウムが摂取されている。WHO Department of Nutrition for Health and DevelopmentのNancy J Aburto氏らは、塩分摂取量を減らすことが血圧と心血管疾患などに及ぼす影響と起こりうる有害事象について評価するため、最新の報告も含む利用可能な全てのデータを対象とする系統的レビューとメタ解析を行った。

 コクランセントラル、Medline、Embase、WHO国際臨床試験レジストリ、Latin
American and Caribbean health science literature databaseなどから、ランダム化比較試験(RCT)と前向きコホート研究で、成人と小児を対象に、塩分摂取が多い集団と少ない集団を比較していた研究を選んだ。主要なアウトカムは、成人は血圧、全死因死亡、心血管疾患、脳卒中、冠疾患と、有害事象が現れる可能性のある要因(血中脂質量、カテコラミン濃度、腎機能の変化など)とし、小児は血圧、血中脂質量、カテコラミン濃度などに設定。逆分散法とランダム効果モデルを用いてメタ解析し、平均差またはリスク比を求めて塩分摂取の影響を推定した。

 成人を対象とした36件の研究の結果をメタ解析したところ、塩分摂取量が少ない集団で、収縮期血圧は3.39mmHg(95%信頼区間2.46-4.31)、拡張期血圧は1.54mmHg(0.98-2.11)低かった。ナトリウム摂取量が2g/日未満と2g/日以上を比較すると、2g/日未満で収縮期血圧が3.47mmHg(0.76-6.18)、拡張期血圧が1.81mmHg(0.54-3.08)低かった。

 減塩の利益は正常血圧者と高血圧患者の両方に見られたが、高血圧患者が得た降圧効果の方が大きかった。高血圧患者を対象とする研究では収縮期血圧は4.06mmHg(2.96-5.15)低下、正常血圧の人々を対象とする研究では1.38mmHg(0.02-2.74)低下していた。

 減塩は、成人の血中脂質量、カテコラミン濃度、腎機能に有害な影響を及ぼしていなかった。

 塩分摂取量が多い集団では脳卒中リスクが高く、リスク比は1.24(95%信頼区間1.08-1.43)になった。脳卒中による死亡のリスク(1.63、1.27-2.10)、冠疾患による死亡のリスク(1.32、1.13-1.53)も有意に高かったが、心血管疾患リスク、冠疾患リスクとの関係は有意ではなかった。

 小児の血圧について報告していたのは、9件のRCTと1件のコホート研究だった。小児でも、塩分摂取量が少ないと、収縮期血圧は0.84mmHg(0.25-1.43)、拡張期血圧は0.87mmHg(0.14-1.60)低かった。

 成人では、減塩は血圧を低下させ、有害事象は見られないことを示す質の高いエビデンスが存在していた。小児の血圧低下については低~中等度の質のエビデンスが見つかった。全体として減塩は多くの人々に利益をもたらすことが示された。

4週間以上の減塩で高血圧患者、血圧正常者とも血圧低下
 近年行われたメタ解析で、減塩により血中ホルモン量や血中脂質量が変化して降圧の利益を縮小する可能性や、正常血圧者では減塩による降圧が公衆衛生上意義のあるレベルにならない可能性が示唆されている。しかし、このメタ解析の対象には、極端な減塩を試みた短期の研究が含まれており、得られた結果の一般化は難しいと英London大学Queen Mary校のFeng J He氏らは考えた。そこでHe氏らは、より長期にわたって、推奨されているレベルの減塩を行った場合の血圧、血中ホルモン量、血中脂質量への影響を調べる系統的レビューとメタ解析を実施した。

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