日経メディカルのロゴ画像

BMJ誌、Lancet誌から
妊婦のビタミンD不足は子どもの骨密度には関与せず
妊娠糖尿病や子癇前症などのリスクは有意に上昇

 ビタミンD欠乏症は健康にさまざまな悪影響を及ぼす。カナダCalgary大学のFariba Aghajafari氏らは、妊婦の血清25-ヒドロキシビタミンD25-OHD)低値と妊娠糖尿病子癇前症子宮内胎児発育遅延などの間に有意な関係があることをメタ分析で見出し、BMJ誌電子版に2013年3月26日に報告した。一方、妊娠後期のビタミンD不足は出生児のその後の骨密度に悪影響を及ぼすと考えられていたが、英Bristol大学のDebbie A Lawlor氏らは、これを否定する研究結果をLancet誌電子版に2013年3月19日に報告した。

25-OHD低値の妊婦は妊娠糖尿病リスクが1.5倍
 妊婦のビタミンD不足が妊娠の転帰を悪化させることは示唆されていたが、妊婦が目標とすべき血清25-OHD値は明らかになっておらず、25-OHD低値の妊婦に対するビタミンDサプリメントの投与が転帰を改善するかどうかも明確になっていない。Aghajafari氏らは、サプリメントの利益を評価する大規模なランダム化比較試験(RCT)を行う前に、観察研究によって示されたビタミンD不足と妊娠の転帰の関係を確認する必要があると考え、近年の報告も含む既存のエビデンスを対象にレビューを実施した。

 Medline、PubMed、Embase、CINAHL、コクラン共同計画の系統的レビューデータベースと臨床試験データベースから、妊娠中の妊婦の血清25-OHD値と子癇前症、妊娠糖尿病、細菌性膣炎、帝王切開、子宮内胎児発育遅延、出生時の体重、身長、頭囲との関係を報告していた研究を抽出。このうち条件を満たした31件からデータを得た。

 血清25-OHD値75nmol/L未満を「低値」として妊娠の転帰との関係を分析した結果、25-OHD低値は妊娠糖尿病(10件の研究のデータをプール解析したオッズ比は1.49、95%信頼区間1.18-1.89)、子癇前症(7件の研究のデータをプール解析したオッズ比は1.79、1.25-2.58)と有意な関係を示した。また、細菌性膣炎(3件の研究はいずれも25-OHD低値と細菌性膣炎の有意な関係を示していたが、プール解析は不可能だった)のリスク上昇とも関係していた。一方で、帝王切開(2件の研究)については、明瞭な結果は得られなかった。

 出生児にかかわる分析では、血清25-OHDが37.5nmol/L未満を低値とした。25-OHD低値は、子宮内胎児発育遅延(6件の研究のデータをプール解析したオッズ比は1.85、1.52-2.26)、低出生体重児の分娩(4件の研究のデータをプール解析したところ、加重平均差は-130.92g、-186.69から-75.14)と有意な関係を示した。出生身長(2件の研究、加重平均差は-0.194cm、-0.65から0.26)、頭囲(2件の研究、-0.048cm、-0.34から0.24)との関係は有意ではなかった。

 日焼け対策を熱心に行っている妊婦やベジタリアンの妊婦は、ビタミンD不足のハイリスク群と考えられる。ビタミンDサプリメントを800~1000 IU/日摂取すれば転帰が改善する可能性があるため、これについて検討する質の高いRCTが必要だと著者らは述べている。

この記事を読んでいる人におすすめ