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BMJ誌から
医学部の贈り物規制が卒業後の医師の処方に影響
厳格な規制方針により、新薬を処方する傾向が低くなる可能性

 医学部が製薬企業などからの贈り物を規制すると、卒業後の医師が既存の同系統薬よりも新薬を処方する頻度が下がる可能性が示された。データベースを利用した分析結果で、米Yale大学経営学部のMarissa King氏らがBMJ誌電子版に2013年1月31日に報告した。

 米国医学生協会(AMSA)は02年、マーケティングに乗せられるのではなく、エビデンスに基づく処方が行われるべきとの考えから、医学部の独立性を高めるために「PharmFreeキャンペーン」を開始した。その一環として、米国の大学医学部や医科大学の学生および教員と、製薬企業や医療機器メーカーの販売員との関係に規制を設けているかどうかを調べてまとめた「PharmFree scorecard」を07年に初めて公表した。それ以降、利益相反規制を設ける医学部が急増し、12年には医学部の98%が製薬企業や医療機器メーカーからの贈り物を制限していたという。

 米国医師会や米国医科大学協会なども、医師と業界の癒着を制限する基準を作成しているが、いずれも既に臨床に携わっている医師や学究機関の研究者と業界の関係に照準を合わせたものになっている。

 PharmFreeキャンペーンが始まる前に行われた調査では、医学生の多くが在学中に製薬企業などのマーケティングの対象になっており、贈り物をもらったり、イベントに招待されていた。こうした経験が業界に対する好意的な態度に結びつき、医師になってから新薬を採用する可能性を高めることが示されていた。

 著者らは、医学部が製薬企業や医療機器メーカーからの贈り物を制限することにより、卒業後の医師の処方内容に及ぼす影響を調べようと考えた。分析対象には、米国市場で売上高が大きく、プロモーションも盛んな中枢神経系刺激薬、抗精神病薬、抗うつ薬の3種類を選んだ。

 調査ではまず、マーケットリサーチ・コンサルティングサービス会社であるIMS Health社のLifelink LRX処方薬データベースで08年と09年の中枢神経系刺激薬、抗精神病薬、抗うつ薬の処方記録を抽出。次に、それらの処方箋を書いた医師を米国医師会の名簿で同定し、出身大学と卒業年度、専門などに関する情報を得た。米国医師会の名簿には医学生や医師会の会員ではない医師の情報も登録されている。

 各大学医学部や医科大学が贈り物を規制する方針を採用した時期は、米医学研究所(IOM)の利益相反データベースやAMSAのPharmFree scorecardなどにより特定した。04年の時点で製薬企業などからの贈り物を制限していたか、明瞭に禁止する方針のあった14の医学部や医科大学を選び、これらの大学を贈り物規制方針が採用される2年前に卒業したグループ(「方針あり/早く卒業」群)と、在学中に方針が採用されたグループ(「方針あり/遅く卒業」群)の2群に分けた。さらに、これらの2群とそれぞれ同年代で、卒業年や専門がマッチするコントロール群として、04年には贈り物規制方針が採用されていなかった医学部の卒業生で、卒業年度が「方針あり/早く卒業」群とマッチするグループ(「方針なし/早く卒業」群)と、卒業年度が「方針あり/遅く卒業」群とマッチするグループ(「方針なし/遅く卒業」群)を同定した。

 主要転帰評価指標は、医師が新薬を既存の同系統薬に比べて多く処方する可能性とした。新薬は、中枢神経刺激薬のlisdexamfetamine(米国で07年3月発売、日本では13年2月時点で未承認)、抗精神病薬のパリペリドン(米国で06年12月発売、日本では11年1月発売)、抗うつ薬のdesvenlafaxine(米国で08年2月発売、日本では13年2月時点で未承認)とした。

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