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BMJ誌から
利尿薬+RA系阻害薬にNSAIDsを追加すると、急性腎障害リスクが上昇
カナダでの大規模コホート研究の結果

 降圧薬を使用している患者に、一定期間、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が追加投与されることは少なくない。このほどカナダJewish General HospitalのFrancesco Lapi氏らが行った大規模コホート研究で、利尿薬とレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬(ACE阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬〔ARB〕)を併用している患者にNSAIDsを投与すると、特に当初30日以内は、急性腎障害による入院リスクが有意に上昇することが明らかになった。論文は、BMJ誌電子版に2013年1月8日に掲載された。

 急性腎障害の重要な原因の1つが薬剤で、英国では1999年から2009年の間に薬剤性腎障害による入院が約2倍に増加している。急性腎障害を引き起こす可能性のある薬剤は複数報告されているが、薬剤間相互作用が急性腎障害リスクに及ぼす影響についてはほとんど知られていなかった。

 著者らは、高血圧治療薬は併用されることが多く、高血圧治療を受ける患者の多くが慢性の炎症性疾患や慢性痛を抱えているため、NSAIDsが処方される可能性も高いことに注目した。

 これまで、複数種類の降圧薬に加えてNSAIDsを使用すると、急性腎障害リスクが上昇することを示唆した症例報告は複数あったが、同様の結果を示した観察研究は1件のみで、質の高い研究ではなかった。高血圧治療の安全性にかかわる問題であるため、著者らは、利尿薬、ACE阻害薬、ARBのいずれかとNSAIDsを併用した場合の急性腎障害リスクを評価する大規模後ろ向きコホート研究を行った。

 英国の一般開業医を受診した患者のデータを蓄積しているClinical Practice Research Datalink(以前はGeneral Practice Research Databaseと呼ばれていた)の情報と、入院患者の情報を収集しているHospital Episode Statisticsデータベースの情報を関連づけた。

 1997年1月1日から2008年12月31日までに降圧薬投与を受けていた成人患者を登録。あらゆる降圧薬の初回処方時にコホートに組み入れて、初回の急性腎障害による入院まで(または、いずれかの除外条件に適合するまで、あるいは2010年12月31日まで)追跡した。

 48万7372人からなるコホートを対象に、ネステッドケースコントロール分析を実施。年齢、性別、コホート組み入れ年、追跡期間などがマッチするコントロールを、ケース1人当たり10人まで選抜した。

 コホート組み入れ日から急性腎障害による初回入院までに投与されたすべての薬剤に関する情報を得た。著者らが分析の的を絞ったのは、利尿薬、ACE阻害薬、ARBのうちの1剤とNSAIDsを同時期に併用(2剤併用)したグループと、利尿薬+ACE阻害薬またはARBの2剤とNSAIDsを同時期に使用(3剤併用)したグループだ。急性腎障害による入院前の90日間と、2剤併用または3剤併用期間が重複していた患者を「現在使用者」とした。

 主要転帰評価指標は、2剤または3剤の現在使用者の急性腎障害による入院に設定。併存疾患、降圧薬の適応(高血圧、心不全、冠疾患など)、血圧値、他の降圧薬やクロピドグレル、抗不整脈薬、スタチン、抗菌薬、ステロイドなどの使用等で調整して率比を求めた。

 追跡期間の平均は5.9年で、304万7813人-年の追跡を行った。2215人(平均年齢76.9歳)が急性腎障害を経験していた。罹患率比は1万人-年当たり7(95%信頼区間7-8)だった。

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