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BMJ誌から
甲状腺機能亢進症は潜在性でも心房細動リスク上昇
甲状腺機能が低下すると心房細動リスクも低下、デンマークの大規模コホート研究

 無症候でも甲状腺機能亢進があれば、その後に初回心房細動を経験するリスクは有意に高いことが、デンマークGentofte病院のChristian Selmer氏らが行った大規模コホート研究で明らかになった。論文は、BMJ誌電子版に2012年11月27日に掲載された。

 著者らによると、一般開業医を受診する一般成人を甲状腺機能に基づいて層別化し、その後の心房細動との関係を調べた研究はこれが初めて。

 顕性の甲状腺機能亢進症と心房細動の関係は広く知られている。加えて、潜在性甲状腺機能亢進症、すなわち、血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)は低下しているが遊離サイロキシン値は正常域にある人々においても、心房細動リスク上昇が見られることが示唆されていたが、いずれも小規模研究の結果だった。

 一方、甲状腺機能低下症については、顕性の患者、潜在性の患者(TSHは上昇しているが遊離サイロキシン値は正常域にある人々)のいずれについても心房細動リスクとの関係は明らかではなかった。

 潜在性の甲状腺機能異常は成人に広く見られること、顕性の甲状腺疾患でも、症状が軽い場合には自覚されにくいことから、デンマークではプライマリケアでの甲状腺機能検査が日常的に行われている。著者らは、デンマークの複数の医療情報データベースを用いて、甲状腺機能と心房細動リスクの関係を評価する大規模なコホート研究を実施した。

 コペンハーゲンの一般開業医を受診し、2000年1月から10年1月22日までに初回の甲状腺機能の評価を受けていた、甲状腺疾患歴と心房細動歴がない18歳以上の58万6460人を、10年12月31日まで追跡した。主要評価指標は心房細動の新規診断とし、甲状腺機能との関係はポワソン回帰モデルを用いて分析した。

 甲状腺機能正常は、「TSH 0.2~5.0mIU/L、遊離サイロキシン 9~22pmol/L、総サイロキシン 60~140mmol/L」とした。顕性の甲状腺機能亢進症はそれぞれ「0.2mIU/L未満、22pmol/L超、140mmol/L超」、潜在性の甲状腺機能亢進症は「0.2mIU/L未満、9~22pmol/L、60~140mmol/L」、顕性甲状腺機能低下症は「TSH 5.0mIU/L超、遊離サイロキシン 9pmol/L未満、総サイロキシン 60mmol/L未満」、潜在性甲状腺機能低下症は「5.0mIU/L超、9~22pmol/L、60~140mmol/L」とした。

 58万6460人(平均年齢50.2歳、61%が女性)のうち、96.0%(56万2461人)は甲状腺機能が正常だった。0.7%(3966人)が顕性甲状腺機能亢進症、1.0%(6276人)が潜在性甲状腺機能亢進症、0.3%(1670人)が顕性甲状腺機能低下症、2.0%(1万2087人)が潜在性甲状腺機能低下症に分類された。

 中央値5.5年、321万5807人-年の追跡で、1万7154人(2.9%)が初回の心房細動を経験していた。甲状腺機能が正常な集団では2.9%、顕性甲状腺機能亢進症患者では4.6%、顕性甲状腺機能低下症患者は2.5%で、年齢と性別で調整した1000人-年当たりの罹患率はそれぞれ6.4、9.1、4.4になった。潜在性甲状腺機能亢進症患者の罹患率は8.4、潜在性甲状腺機能低下症患者の罹患率は5.7だった。

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