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BMJ誌から
20歳前に喫煙を始めた日本人男性の余命短縮は8年、女性は10年
従来の研究よりも喫煙の影響は大、欧米と同程度

 日本人の男女の喫煙習慣と死亡の関係を分析した前向き研究で、出生年が遅い集団の方が喫煙開始年齢は若く、喫煙本数は多く、喫煙歴がない人々と比較した余命短縮のレベルは欧米人を対象とした研究結果と同程度であることが明らかになった。住民ベースの前向き研究「寿命調査LSS)」の結果で、放射線影響研究所の坂田律氏らが、2012年10月25日付のBMJ誌電子版に報告した。

 日本でも喫煙が健康に及ぼす影響を調べる研究は数多く行われてきた。それらの研究は、喫煙によって引き起こされる疾患は、日本人もそれ以外の人種も同じであることを示している。

 一方、日本人の喫煙による余命の短縮は男女ともに4年、あるいは男性は4年、女性は2年などと報告されていた。英国の研究では男性で10年短縮、米国の研究では男性で9年、女性では8年短縮すると報告されており、全死因死亡に対する喫煙の影響は、他の人種に比べて日本人の方が小さいことが示唆されていた。

 そこで著者らは、日本人の大規模集団を対象に、喫煙が全死因死亡と余命に及ぼす影響を調べた。対象となったのは、LSSに登録された人々の一部だ。1950年に広島と長崎で開始されたLSSは、原爆被爆者を含む大規模コホートを、主に被曝の影響を調査するために長期にわたって追跡したもの。1945年8月以前に生まれた約12万人を登録しており、うち約半数は原爆投下時に被害が及ばなかった場所に居住していた人々だった。

 今回の分析対象にしたのは、喫煙習慣に関する情報が得られていた2万7311人の男性と4万662人の女性。喫煙習慣に関する調査は1963~92年に実施した。1回だけ調査を行った人々が3万1142人、2回以上調査が可能だった人が3万6831人おり、複数回の調査で喫煙習慣に変化があった人々については翌年に再度調査を実施した。

 死亡については、初回の喫煙習慣調査から1年後の時点から08年1月1日まで追跡した。喫煙習慣に関する調査を起点とする追跡期間の平均は22.9年(男性は20.4年、女性は24.6年)だった。

 1960年代末には、男性の74%と女性の13%が「現在喫煙者である」と報告していた。また、男性の13%と女性の2%は「過去に喫煙していた」と報告していた。その後の調査では、現在喫煙者の割合は男女ともに低下し、過去の喫煙者の割合が増加していた。また、現在喫煙者と過去の喫煙者の中で、男性の25%(5842人)、女性の5%(357人)が20歳未満で喫煙を開始したと述べていた。

 喫煙非経験者の全死因死亡率と現在喫煙者の全死因死亡率を比較した死亡率比と出生年の関係を調べたところ、出生年が遅くなるにつれて死亡率比は上昇していた。1890年より前の生まれの集団では、男性が1.24(95%信頼区間0.84-1.83)、女性は1.32(1.04-1.67)、1890~99年は1.39(1.25-1.54)と1.38(1.23-1.54)、1900~09年は1.49(1.37-1.62)と1.41(1.31-1.53)、1910~19年は1.55(1.39-1.72)と1.69(1.56-1.83)、1920~29年は1.82(1.55-2.15)と1.82(1.66-2.00)、1930~45年は1.92(1.68-2.20)と1.79(1.55-2.07)になった(男性の傾向性のP=0.00001、女性ではP<0.00001)。

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