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BMJ誌から
閉経後間もない女性ではHRTの「利益あり」
乳癌や血栓塞栓症の増加はなし、約10年間介入した無作為化試験の結果

 閉経から平均7カ月の女性をホルモン補充療法HRT)または偽薬に割り付け、約10年治療を行った無作為化試験で、HRT群の死亡、心不全による入院、心筋梗塞の複合イベントリスクは偽薬群と比べて有意に低く、乳癌血栓塞栓症のリスク上昇は見られないという結果が得られた。デンマークHvidovre病院のLouise Lind Schierbeck氏らが、2012年10月9日付のBMJ誌電子版に報告した。

 閉経女性に対するHRTの利益とリスクについては、多くの議論が行われてきた。02年までは、HRTの心血管疾患や骨粗鬆症予防における利益はリスクに優ると考えられてきた。ところが02年に、Women’s Health Initiative(WHI)が、HRTには心血管リスク低減効果はない上に、乳癌リスクなどが上昇すると報告。以降、HRTの実施数は急速に減少した。

 一方で、これをきっかけに、心血管転帰におけるタイミング仮説、すなわち、閉経から治療開始までの時間によって、心血管転帰への影響が異なるのではないかとの考えが提示された。これまでにHRTの心血管利益を示した観察研究は主に、閉経直後に治療を開始している。一方、利益を示せなかった無作為化試験は、閉経から5~20年後に治療を開始していた。また、メタ分析では、HRT開始年齢が若い女性では冠疾患リスクが低く、全死因死亡も低いことが示されていた。

 著者らは、閉経後間もなくHRTを開始すれば、心血管転帰が向上するのではないかと考え、HRTの骨折に対する影響を調べた多施設前向き研究Danish Osteoporosis Prevention Study(DOPS)のデータを利用して、閉経間もない女性に対するHRTが心血管アウトカムに及ぼす長期的な影響を評価するオープンラベルの無作為化試験を実施した。

 1990~93年に、デンマークで、45~58歳の健康な女性1006人(平均年齢49.7歳、平均BMI25.2)を登録。(1)最後の月経から3~24カ月が経過した女性、または(2)更年期障害の症状(月経不順も含む)があり、血清卵胞刺激ホルモン(FSH)値が閉経後の値(閉経前女性の値より2SD超高い)を示す女性を選んだ。子宮摘出術を受けた女性も含めたが、年齢が45~52歳で、血清FSH値が上昇していることを条件とした。骨疾患や、癌の既往がある女性などは除外した。

 1006人のうち、502人をHRT(介入群)、504人を治療なし(対照群)に無作為に割り付けた。全体の192人が子宮摘出術を受けており、うち介入群に割り付けられたのは95人だった。

 介入群で子宮摘出術を受けていない女性には、3相性エストラジオール(合成17-β-エストラジオール、以下エストラジオールと略)+酢酸ノルエチステロン(エストラジオール2mgを12日間投与し、続いてエストラジオール2mgとノルエチステロン1mgを10日間投与、さらにエストラジオール1mgを6日間投与)を、子宮摘出術を受けた女性にはエストラジオール2mgを毎日投与した。このレジメンで有害事象を経験した患者と、症状の十分な軽減が得られなかった患者には別のレジメンを提供した。

 主要転帰評価指標は、死亡、心不全による入院、心筋梗塞を合わせた複合イベントに設定した。

 治療は20年間継続する設計になっていたが、WHIの報告を受けて、平均10.1年になった02年8月1日に投与を中止した。その後約5.7年間(割り付けから15.8年後まで)、死亡、心血管イベント発生、癌の診断などについて追跡した。

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