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BMJ誌から
高齢者のベンゾジアゼピン使用は認知症リスク上昇と関係

 不安不眠の治療に広く用いられているベンゾジアゼピン系薬剤を高齢者に処方すると、その後の認知症リスクが1.5倍になる可能性が示された。仏Victor Segalen(Bordeaux 2)大学のSophie Billioti de Gage氏らが行った住民ベースの前向きコホート研究の結果で、論文は、2012年9月27日付のBMJ誌電子版に掲載された。

 先進国では、ベンゾジアゼピンは高齢者に幅広く処方されている。投与期間は数週間程度に留めるべきとされるが、実際には慢性的に使用している患者も少なからず認められる。

 これまで、ベンゾジアゼピンの長期使用が認知機能に及ぼす影響については議論があった。複数の研究が行われたにもかかわらず、一貫した結果が示されていない理由の1つは、ベンゾジアゼピンの適応である不安やうつ、不眠といった症状が、認知症の前駆症状でもあるためだ。

 著者らは、あらゆるベンゾジアゼピン系薬剤の使用と認知症の関係を調べるために、住民ベースの前向き研究PAQUIDに登録された患者を分析した。PAQUID研究は、正常な、または病的な脳の老化について調べるために、フランス南西部に住む高齢者を長期にわたって追跡した研究だ。一般的なフランス人のサンプルとして65歳以上の3777人を1987~89年に登録し、2~3年ごとに受診を求め、最長20年間追跡した。

 ベースラインと受診時に、健康状態、社会人口学的特徴、生活習慣、薬剤の使用、認知機能などを評価した。共変数として、年齢と性別のほか、学歴、配偶者の有無、ワイン摂取の有無、糖尿病歴、高血圧歴、スタチン、抗血小板薬、経口抗凝固薬の使用、認知機能の低下などに関する情報も得た。

 今回の分析のうち、主要なコホート研究では、登録から追跡開始までに3~5年の観察期間を設けた。登録から5年後の受診まで認知症ではなく、登録時にベンゾジアゼピンを使用していなかった人々のうち、3年目の受診と5年目の受診の間にベンゾジアゼピンの使用を開始していた人々を「新規使用者」、5年時まで使用がなかった人々を「非使用者」として追跡を開始した。こうした時間差をつけることにより、認知症の前駆症状に対してベンゾジアゼピンが処方された可能性のある患者を除外できると考えたのだ。

 主要評価指標は、登録から8年目以降の受診時に専門医によって確認された認知症罹患に設定。受診時の認知症の診断にはDSM-III-Rを用いた。

 3777人のうち、5年の時点で条件を満たした1063人(平均年齢78.2歳。ベンゾジアゼピン非使用者968人、新規使用者は95人)について、認知症の罹患を追跡した。15年間の追跡(中央値は6.2年)で、253人(23.8%)が認知症と診断された。223人が非使用者、30人がベンゾジアゼピン新規使用者だった。

 カプランマイヤー法を用いて、認知症なしの生存時間を比較すると、ベンゾジアゼピン非使用者に比べ新規使用者の方が有意に短かった(ログランク検定のP=0.03)。

 ベンゾジアゼピンの新規使用は認知症リスクの上昇に関係していた。追跡期間中の認知症の罹患率は、新規使用群が100人-年当たり4.8、非使用群は100人-年当たり3.2で、新規使用群の多変量調整ハザード比は1.60(95%信頼区間1.08-2.38)となった。認知症の前駆症状である可能性があるうつ症状を調整に加えても、ハザード比は1.62(1.08-2.43)でほぼ変化しなかった。

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