日経メディカルのロゴ画像

BMJ誌から
BRCA1/2変異キャリアへの放射線検査は乳癌リスクを高める
30歳前に検査被曝があった女性で約2倍、欧州の大規模研究の結果

 乳癌リスクを高めるBRCA1/2遺伝子の変異を持つ30歳未満の女性に放射線を使った診断検査を行うと、乳癌罹患リスクが有意に上昇する可能性が、大規模な後ろ向きコホート研究で示された。オランダ癌研究所のAnouk Pijpe氏らが、BMJ誌電子版に2012年9月6日に報告した。

 BRCA1BRCA2遺伝子は、DNA二本鎖に切断が生じた場合の修復に重要な役割を果たしており、これらの変異は修復不全を引き起こす。電離放射線はDNA二本鎖切断を生じさせることから、BRCA1/2変異を持つ人は放射線感受性が高い可能性がある。

 これまで、BRCA1/2変異キャリアに対する放射線診断検査の実施が乳癌リスクに及ぼす影響を調べた研究はわずかしか行われておらず、一貫した結果は得られていなかった。それでも一部の国は、BRCA1/2変異キャリアで30歳未満の女性には、マンモグラフィーによるスクリーニングは行わず、MRIなどを主に使用することを推奨している。

 著者らは、BRCA1/2変異を有する女性に対する放射線を用いた診断検査の実施と乳癌リスクの関係を調べるために、フランス、英国、オランダでそれぞれ行われた3件の全国的なコホート研究(GENE-PSO、EMBRACE、HEBON)に登録された女性の情報を分析する、大規模な後ろ向きコホート研究GENE-RAD-RISKを実施した。

 これら3つの研究は、BRCA1/2変異キャリア女性を登録し、06~09年に質問票を用いた調査を行って、放射線を用いた診断検査歴などを確認していた。X線透視検査、胸部または肩のX線撮影、胸部または肩のCT検査、マンモグラフィーと、胸部または肩に放射線曝露が生じる他の診断検査(骨シンチグラフィーなど)などを受けた経験を尋ね、X線透視検査、X線撮影、マンモグラフィーについては、初回検査時の年齢、20歳未満での受検回数、20~29歳と30~39歳での受検回数などについても回答を求めた。それ以外の検査による被曝については、検査の目的、受検時の年齢、受検回数を確認した。

 個々の検査の被曝量については公表されている情報を利用し、個々の女性について乳房の累積被曝線量を推定した。

 主要転帰評価指標は乳癌リスクとし、時間依存性の乳房の累積線量で重み付けしたCox比例ハザードモデルを用いて評価した。

 コホート全体は1993人。最も多かった放射線診断検査はX線撮影で、919人(48%)が1回以上受けていた。マンモグラフィーを1回以上受けていたのは649人(33%)だった。40歳までの1人当たりの検査回数の中央値は、X線撮影が2.5回、マンモグラフィーが2.4回だった。初回マンモグラフィーが行われた時点の患者の平均年齢は29.5歳だった。CTによる被曝は29人(2%)、他の検査による放射線被曝があった患者は53人(3%)だった。

 乳房の累積被曝線量を推定したところ、平均は0.0140Gy(レンジは0.0005~0.6130、四分位範囲は0.0020~0.0174)だった。

この記事を読んでいる人におすすめ