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BMJ誌から
ACE阻害薬使用者は肺炎リスクが34%減少
メタ分析で確認、ARB使用者ではリスク減少見られず

 ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)と肺炎の関係を明らかにするために行われた系統的レビューとメタ分析で、ACE阻害薬は偽薬やARBに比べ、肺炎リスクを有意に低下させ、肺炎関連死亡も減らす可能性があることが明らかになった。英London衛生熱帯大学院のDaniel Caldeira氏らが、BMJ誌電子版に2012年7月10日に報告した。

 ACE阻害薬の肺炎予防効果は以前から示唆されていたが、強力なエビデンスはなかった。今回著者らは、Medline、Web of Science、米食品医薬品局(FDA)のウェブサイトに2011年6月までに登録された情報の中から、ACE阻害薬またはARBと肺炎リスクの関係を評価していた無作為化試験、コホート研究、ケースコントロール研究と、それらを対象とする系統的レビューなどを抽出し、系統的レビューとメタ分析を行った。

 主要転帰評価指標は肺炎の罹患率、2次評価指標は肺炎関連死亡(肺炎に起因する死亡、院内死亡、または肺炎発症から30日以内の死亡)に設定。ランダム効果モデルを用いてプール解析し、オッズ比を求めた。ACE阻害薬とARBの比較については、それぞれ対照群と比較した研究のデータを用いて、Bucherの方法で頻度論的間接比較を行い、2剤を直接比較したデータと組み合わせた。

 37件の研究が条件を満たした。18件が無作為化試験、11件がコホート研究、2件がネステッドケースコントロール研究、6件がケースコントロール研究だった。

 18件の無作為化試験のうち、7件がACE阻害薬と対照群(偽薬または投与なし)を、9件がARBと対照群(偽薬またはACE阻害薬以外の対照薬)を、2件がACE阻害薬とARBを比較していた。無作為化試験のうち3件はアジアで行われていた。

 残りの19件の観察研究のうち、10件がアジアで行われていた。11件が後ろ向き研究、8件が前向き研究だった。17件がACE阻害薬について、2件はARBについて評価しており、2件はACE阻害薬とARBを比較していた。

 ACE阻害薬と対照群を比較しており、肺炎罹患についてのデータが得られた19件(5件が無作為化試験、8件がコホート研究またはネステッドケースコントロール研究、6件がケースコントロール研究)では、ACE阻害薬の肺炎リスク低減効果は有意だった。オッズ比は0.66(95%信頼区間0.55-0.80、I2=79%)。2.0年間の治療必要数(NNT)を推定すると65(48-112)になった。

 研究の種類が異なっていても、ACE阻害薬の肺炎リスク低減レベルはほぼ同様だった。無作為化試験のオッズ比は0.69(0.56-0.85、I2=0%)、コホート研究またはネステッドケースコントロール研究では0.58(0.38-0.88、I2=79%)、ケースコントロール研究では0.67(0.49-0.93、I2=73%)だった(研究種類別に比較したP=0.78)。

 一方、ARBと対照群を比較していて肺炎罹患のデータが得られた11件(9件が無作為化試験、2件がコホート研究またはネステッドケースコントロール研究)の研究結果は、ARB群の肺炎リスク低下を示さなかった。全体のオッズ比は0.95(0.87-1.04、I2=14%)。無作為化試験のオッズ比は0.90(0.79-1.01、I2=7%)、コホート研究またはネステッドケースコントロール研究では1.01(0.94-1.09、I2=7%)だった(研究種類別に比較したP=0.10)。

 ACE阻害薬とARBを直接比較していた無作為化試験1件とコホート研究1件の結果と、それぞれ対照群と比較していた研究の結果をプール解析すると、ARBと比較したACE阻害薬の肺炎のオッズ比は0.69(0.56-0.85)になった。2.2年間のNNTは72(51-147)だった。

 ベースラインの合併症保有状況(脳卒中、心不全、慢性腎疾患)や患者特性(東洋人か否か)に基づいて患者を層別化し、サブグループ解析を実施した。

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