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BMJ誌から
市中肺炎患者の受診時高血糖は死亡の予測因子
ドイツなどで行われた多施設コホート研究の結果

 糖尿病罹患歴のない市中肺炎患者では、受診時の血糖値が高いほどその後の死亡リスクが高くなることが、独Saarland大学病院のPhilipp M Lepper氏らが行った多施設前向きコホート研究で明らかになった。論文は、BMJ誌電子版に2012年5月29日に掲載された。

 近年、糖尿病患者または急性の血糖異常が認められる患者は、市中肺炎を含む感染症による入院期間の延長や死亡率上昇が見られるとの報告が複数ある。だが、それらの多くが後ろ向き研究だった。著者らは、糖尿病患者は併存疾患が存在する割合が高く、交絡因子の調整が難しいことから、主に糖尿病ではない患者の急性高血糖と市中肺炎後の死亡の関係を調べる前向き研究を実施した。

 ドイツ、スイス、オーストリアのクリニックと病院で、市中肺炎研究を目的に情報を収集しているネットワークCAPNETZに03~09年に登録された患者の中から、新たに胸部X線浸潤影が認められ、下気道感染の症状または徴候(発熱、咳、膿性痰、胸部の局所徴候)を1つ以上呈した患者6891人(平均年齢は59.8歳、55.2%が男性)を抽出。前向きに収集された6カ月後までのデータを入手した。患者は初回受診時の血糖値に基づいて層別化した。

 ベースラインの血糖値と全死亡の関係は、多重代入法により欠損データを補った上で多変量Cox比例ハザードモデルを用いて分析した。年齢、性別、喫煙の有無、肺炎の重症度(入院の必要性を評価するCRB-65スコアに基づく。意識障害、呼吸数が30回/分超、収縮期血圧が90mmHg以下または拡張期血圧が60mmHg以下、年齢が65歳以上を指標としてスコアを算出)、併存疾患で調整し、診断後28日の死亡、90日死亡、180日死亡のハザード比を求めた。

 6891人中1114人(16.2%)は糖尿病の診断を受けていた。入院したのは4671人(67.8%)だった。全体では、28日以内の死亡が324人(4.7%)、90日以内の死亡が514人(7.5%)、180日以内の死亡は648人(9.4%)だった。

 糖尿病と診断されていた患者の死亡率は、そうでない患者に比べ一貫して高く、ベースラインの血糖値の影響を受けなかった(交互作用のP=0.18)。例えば、90日死亡は糖尿病群が14.5%、非糖尿病群が6.1%で、粗のハザード比は2.47(95%信頼区間2.05-2.98、P<0.001)となった。

 糖尿病だった患者を含む対象者全員を分析したところ、ベースラインの血糖値上昇は、90日死亡の予測因子だった(傾向性のP<0.001)。血糖値が正常(今回は4~6mmol/L〔72~108mg/dL〕未満を正常とした)だった患者の90日死亡率は3%で、このグループを参照群とすると、軽度の急性高血糖(6~11mmol/L〔108~198mg/dL〕未満)が認められたグループでは、90日死亡の調整ハザード比は1.56(95%信頼区間1.22-2.01、P<0.001)、血糖値が11~14mmol/L(198~252mg/dL)未満だったグループでは1.43(0.97-2.09)、14mmol/L(252mg/dL)以上では2.37(1.62-3.46、P<0.001)になった。一方、血糖値が正常域より低かった患者には、死亡リスクの上昇は見られなかった(0.99、0.59-1.66)

 28日死亡と180日死亡についても同様で、ベースラインの血糖値が高いほど死亡リスクは高かった(いずれも傾向性のO<0.001)。

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