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BMJ誌から
腹部大動脈径が30mm未満でも循環器疾患に要注意
腹部大動脈瘤スクリーニングを受けた男性約8150人を追跡

 超音波検査に基づく腹部大動脈瘤AAAスクリーニングで、AAAと判定される直径30mm以上のみならず、25~29mmでもその後の循環器疾患などの罹患(入院)リスクの上昇が見られること、リスク上昇はほとんどが動脈瘤以外の血管疾患に起因するものであることが、英国で行われた前向きコホート研究で明らかになった。英Raigmore病院のJohn L Duncan氏らが、BMJ誌電子版に2012年5月4日に報告した。

 英国では、これまでに行われた複数の無作為化試験とメタ分析の結果に基づいて、65歳以上の男性に対するAAAスクリーニングの実施が推奨されている。超音波検査によるスクリーニングを1回行い、必要に応じて適切に介入すれば、AAA関連死亡を減らせることが過去の研究で示されており、英国では、その費用対効果は良好と判断されている。

 だが、多くのスクリーニングプログラムは、腹部大動脈の直径が30mm以上をカットオフ値に設定しており、それより低い値の男性は追跡対象にはならない。そこで著者らは、スクリーニング時に大動脈の直径が30mm未満だった男性も分析対象に含めて、入院と死亡のリスクを調べる前向きコホート研究を実施した。AAA患者においては、AAA関連死亡に加えて、他の血管疾患による死亡リスクも上昇するとの報告があったことから、様々な疾患による死亡と初回入院を評価指標に設定した。

 01年4月から04年3月の間に、スコットランドの2つの州に住む65~74歳の男性をAAAスクリーニングに招き、8355人が参加した。初回のスクリーニング時に、全般的な健康状態、喫煙歴、医療歴、心血管疾患と糖尿病の家族歴などに関する情報を得た。大動脈の直径は前後方向の最大値を記録し、30mm以上をAAAと診断した。

 直径が30~44mmの患者は年1回、45~54mmの患者は3カ月に1回検査を行い、55mm以上の患者には治療の実施を検討するとした。AAA(直径30mm以上)と診断された患者には生活改善指導を行い、かかりつけ医に連絡してアスピリンとスタチンの投与を考慮するよう指示した。一方で、大動脈の直径が29mm以下の男性は正常とし、それ以上の検査や介入は行わなかった。

 初回のスクリーニングを受けた男性の転帰は、この地域の住民の死亡記録や入院記録を参照し確認した。

 主要評価指標は、AAAの存在に関連する疾患罹患(入院)と死亡に設定、患者を大動脈の直径に基づいて24mm以下、25~29mm、30mm以上の3群に層別化して評価した。

 スクリーニング時に患者特性などの情報が得られた8146人を、10年6月26日まで、中央値7.4年(四分位範囲6.9~8.2年)追跡した。

 初回のスクリーニングでは5.1%(414人)にAAA(直径30mm以上)と判定された。大動脈の直径が25~29mmだった男性は8.2%(669人)、24mm以下の男性は86.7%(7063人)だった。

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