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BMJ誌から
インスリンへのメトホルミン併用、生存利益は不明
併用で血糖管理の向上や体重抑制は見られるが…

 インスリン療法を開始した2型糖尿病患者がメトホルミンを併用すると、どのような利益が得られるのだろうか。デンマークCopenhagen大学のBianca Hemmingsen氏らが無作為化試験を対象に系統的レビューを行ったところ、メトホルミン併用は血糖管理の向上や体重増加の抑制、インスリン減量をもたらすものの、低血糖イベントを増やすことが示された。生存に対する影響に関する情報は著しく不足しており、利益は示されなかった。論文は、BMJ誌電子版に2012年4月19日に掲載された。

 著者らは、2型糖尿病患者にインスリンを単剤で用いた場合とメトホルミンを併用した場合の利益とリスクを評価した無作為化試験を対象に、系統的レビューを実施。メタ分析と逐次分析(Trial Sequential Analysis;TSA)も行った。

 コクランライブラリ、Medline、Embase、Science Citation Index Expanded、Latin American Caribbean Health Sciences Literature、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literatureに11年3月までに登録された無作為化試験と、米糖尿病学会(ADA)、欧州糖尿病学会(EASD)で報告された無作為化試験の抄録を中心に、18歳超の2型糖尿病患者をメトホルミンとインスリンの併用またはインスリン単剤に割り付けて、12週間以上投与していた試験を選出した。

 主要評価指標は、全死因死亡と心血管死亡に設定。2次評価指標は大血管障害と微小血管障害を合わせた複合イベント、有害事象、QOL、インスリンの用量、血糖管理などに設定した。

 条件を満たしたのは26件の試験で、メタ分析に必要な情報を提供していたのは23件(登録患者数は2117人)だった。全ての面でバイアスリスクが低いと判断された研究は1件もなかった。また、生存に関する情報を報告していた研究は少なかった。

 全死因死亡を報告していたのは16件の試験(患者数は1627人)で、5件の試験に登録された計21人が死亡していた。メトホルミンの併用は、全死因死亡リスクに有意な影響を与えていなかった。ランダム効果モデルを用いて、インスリン単剤群と比較した全死因死亡の相対リスクを推定したところ、1.30(95%信頼区間0.57-2.99、I2=0%)で有意な影響は見られなかった。逐次分析では、このメタ分析で収集された情報は、相対リスクの30%減少を示す(または否定する)ために必要なデータサイズの2.93%にしかならないことが示された。

 同様に、心血管死亡について報告していたのは15件の試験(患者数は1498人)で、3件が計6人の死亡を報告していた。相対リスクは1.70(0.35-8.30、I2=0%)で、やはり有意な影響を示さなかった。こちらの分析においても、相対リスクの30%減少を示す(または否定する)ために必要なデータサイズの0.65%しか収集できていなかった。

 大血管障害と微小血管障害についても、メトホルミン併用の有意な影響は見られなかった。

 低血糖イベントを報告していた研究は多かったが、メタ分析に組み入れられるような形式の報告は少なかった。11件(1303人)の試験が重症低血糖イベントの発生件数を報告していたが、実際に発生したのは3件の試験のみ(患者数は24人)。ランダム効果モデルでは相対リスクは2.43(0.54-10.85)と有意な影響を示さなかったが、固定効果モデルでは、重症低血糖イベントはインスリン単剤群に比べメトホルミン併用群で有意に多いことが示された(相対リスクは2.83、1.17-6.86、I2=43%)。

 一方、軽症の低血糖イベントについては、6件(患者数は869人)の試験で報告があり、ランダム効果モデルを用いた分析では、相対リスクは1.01(0.85-1.20、I2=27%)と有意な影響を示さなかった。

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