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BMJ誌から
急性肺損傷患者への肺保護的換気で2年死亡率が低下

 急性肺損傷患者に対して機械的換気を行う場合、肺保護的な換気を行うと2年間の死亡リスクが低下し、1回換気量が増加すると死亡リスクが上昇することが、米Johns Hopkins大学医学部のDale M Needham氏らの前向きコホート研究で明らかになった。論文は、BMJ誌電子版に2012年4月5日に掲載された。

 急性肺損傷や、その重症型である急性呼吸窮迫症候群ARDS)のサバイバーは、退院後数カ月から数年の間、死亡リスクが上昇した状態に置かれる。例えば、急性肺損傷患者の退院後15年間の死亡リスクは、年齢と性別をマッチした集団の2~5倍であると報告されている。だが、これらの患者の死亡リスク上昇を防ぐための介入法に関する研究は、これまでほとんど行われていなかった。

 一般的な肺保護的換気では、1回換気量を「患者の性別と身長を基に計算した予測体重1kg当たり6mL」、吸気終末プラトー圧は「30cm H2O以下」といった設定に抑える。集中治療部門(ICU)でこれを行うと、肺の炎症反応が減少し、人工呼吸器関連肺損傷と、肺以外の臓器の機能不全のリスクが低下する可能性が示されている。

 著者らは、肺保護的機械的換気が急性肺障害患者の長期的な生存に及ぼす影響を評価するために、前向きコホート研究を行った。メリーランド州Baltimoreの4カ所の病院の内科、外科、外傷患者のためのICU 13カ所で、04年から07年まで、急性肺障害で機械的換気が必要とする患者を登録。神経疾患または頭部外傷の患者は除外した。主要転帰評価指標は、急性肺損傷から2年間の生存率に設定した。

 条件を満たした485人の患者について、機械的換気が行われていた期間に、朝6時と夕方6時の2回記録されていた人工呼吸器の設定情報を調べ、1万2202回分の記録を得た。それらのうち、肺保護的な条件、すなわち「気管内挿管または気管切開チューブを介して、吸入気酸素濃度(FiO2)が0.50以上、または、呼気終末陽圧(PEEP)が5cm H2O超」を満たしていた6240回を抽出。さらに2つの条件(1回換気量が6.5mL/kg予測体重以下で、吸気終末プラトー圧が30cm H2O以下)を満たしていた2548回(41%)を「実際に肺保護的換気になっていた」と判断した。

 485人のうち、実際に保護的換気となっていた回数が全体の50%以下だった患者は417人(86%)で、うち180人は一度も実際的な保護的換気を受けていなかった。残る68人(14%)では、記録された回数の50%超が保護的換気となっていた。

 機械的換気の条件設定または死亡に関係する可能性がある共変数として、ベースラインの年齢、性別、BMI、Charlson併存疾患指数、ICU入院から24時間以内の重症度(APACHE IIスコア)、急性肺損傷の危険因子の保有、ICUが内科か外科か、ICU入院前の患者の所在(最初に救急部門を受診したかなど)、登録年度、登録病院などに関する情報を得た。さらに時間依存共変数として、PEEP、動脈血酸素分圧(PaO2)、FiO2、動脈血pH、呼吸数、臓器の機能不全、鎮静/せん妄、全身性に投与されたステロイドの用量と神経筋遮断薬の用量、体液平衡などに関する入院中のデータも得た。

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