日経メディカルのロゴ画像

BMJ誌から
シルデナフィルを長期投与しても眼の有害事象は増えず
肺動脈性肺高血圧症患者に対するフェーズ3試験と延長試験から

 肺動脈性肺高血圧シルデナフィル(5型ホスホジエステラーゼ〔PDE5〕阻害薬)の長期投与を受けた患者の視力や視覚、眼圧などに、偽薬群に比べて変化はないこと、承認されている20mg1日3回の用量はもちろん、80mgを1日3回投与しても、には安全であることが、フェーズ3試験の登録患者のデータ分析で明らかになった。米Utah大学のBarbara M Wirostko氏らが、BMJ誌電子版に2012年2月21日に報告した。

 経口勃起不全治療薬として開発されたシルデナフィルは、近年、肺動脈性肺高血圧患者にも投与されている。シルデナフィルは血液脳関門を通過できる。また、PDE5は網膜血管系と脈絡膜血管系、双極細胞、神経節などにも発現しているため、シルデナフィルが眼に有害事象を引き起こす可能性が懸念されるようになった。

 実際に、勃起不全患者に用いた場合に、用量依存的に、色の識別能力に可逆的な異常が見られたという報告や、一過性の光感受性の上昇が認められたとの報告があり、動物実験では眼圧上昇も報告されている。しかしこれまで、シルデナフィルを長期投与した場合の眼に対する安全性を、様々な指標を用いて評価した研究はなかった。

 著者らは、シルデナフィルの肺動脈性肺高血圧症に対する有効性を評価する二重盲検の無作為化フェーズ3試験と非盲検の延長試験を行い、主な結果を05年にNEJM誌に報告している。その際は、視覚障害については「リスク上昇なし」とだけ報告していた。今回はシルデナフィル長期投与の眼への影響に焦点を絞り、データを分析した。

 この試験は、世界の様々な国の53の医療機関で278人の成人肺動脈性肺高血圧症患者を登録したもので、組み入れ条件は、特発性肺動脈性肺高血圧症、または結合組織病に合併した肺動脈性肺高血圧症、もしくは先天性心疾患に対する外科治療後に発生した肺動脈性肺高血圧症で、安静時の平均肺動脈圧が25mmHg以上、肺毛細血管楔入圧は15mmHg以下、となっていた。

 12週の二重盲検期間は、患者を無作為にシルデナフィル20mg(69人)、40mg(68人)、80mg(71人)、偽薬(70人)のいずれかに割り付け、1日3回投与した。80mg群については40mgを開始用量とし、その後増量した。ベースラインで使用していた薬剤の投与はそのまま継続した。

 二重盲検試験を完了した患者を対象に、延長試験を実施。80mg群はそのまま治療を継続する一方、偽薬、20mg、40mgに割り付けられていた患者には40mgを6週間投与し、その後増量して80mgの投与を目指した。完全に非盲検となった後は、臨床的な必要性に応じて20mgから80mgの間で用量を調整した。

 眼に対する影響の評価は、12週、24週、18カ月と、その後1年1回実施した。

 主要転帰評価指標は眼に対する安全性とし、眼の診察、視機能検査、患者の自己申告による有害事象報告、視覚障害質問票を用いた評価などを実施。診察では眼科医による観察、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査、眼圧検査(4mmHg以上の変化を臨床的に意義ありと判定)を行った。視機能検査では、最良矯正視力、色覚、コントラスト感度、視野を測定。眼圧と視力、コントラスト感度については、左目と右目に臨床的に意義のある差がない限り右目のデータを比較に用いた。

 割り付けられた薬剤を1回以上使用したのは277人(平均年齢49歳)、12週の試験を完了したのは265人で、延長試験参加は259人だった。延長試験の治療期間の中央値は1171日だった。

この記事を読んでいる人におすすめ