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BMJ誌から
一部の抗精神病薬が施設入所高齢者の死亡リスクを高める可能性
リスペリドンを参照とした場合のハロペリドールの全死因死亡リスク(癌以外)は2倍

 施設(ナーシングホーム)に入所している高齢者を対象に、処方頻度の高い抗精神病薬と全死因死亡との関係を調べた米国のコホート研究の結果が、BMJ誌電子版に2012年2月23日に掲載された。著者の米Harvard大学医学部のK F Huybrechts氏らは、ハロペリドールを処方されている高齢者は、リスペリドンを処方された高齢者に比べて使用開始から180日間の全死因死亡リスクが2倍であること、クエチアピンを処方されている高齢者は死亡リスクが20%低いことなどを報告している。

 米国では、連邦政府や食品医薬品局などが様々な対策を講じたにもかかわらず、いまだに高齢者に対する抗精神病薬の不適切な投与が広く行われている。著者らは、施設に入所している高齢者に関する情報を登録したデータベースを利用して、個々の抗精神病薬の使用と死亡リスクの関係を評価する集団ベースのコホート研究を行った。

 MedicaidとMedicareの請求情報、Minimum Data Set(ナーシングホームで用いられている健康状態を総合的に評価するツールで、得られた情報をデータベースに登録している)、Online Survey Certification and Reporting(OSCAR;施設の特徴や入所患者の特徴などの情報を登録)システム、National Death Indexと、全米のナーシングホームの質の評価のデータを関連づけることにより、米国内45州のナーシングホームに01~05年に入所していた高齢者の中から、新たに抗精神病薬の使用を開始した高齢者7万5445人を同定した。全員が65歳以上でMedicaid受給資格を持っていた。抗精神病薬は、施設入所者に一般に投与される薬剤として、ハロペリドール、アリピプラゾールオランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンを選んだ。

 主要転帰評価指標は、個々の薬剤の使用開始から180日間の全死因死亡(癌死亡は除外)と死因別死亡とし、傾向スコア調整してCox比例ハザード分析を行った。癌死亡を除外した理由は、処方開始前から存在していた癌による死亡と考えられるためだ。

 使用開始から180日後までの癌以外による死亡は6598人で、死亡率は100人-年当たり37.1(95%信頼区間36.2-38.0)になった。ハロペリドールを処方されていた患者の死亡は100人-年当たり109.1、アリピプラゾール使用者では26.2、オランザピン使用者では36.7、クエチアピン使用者では28.4、ジプラシドン使用者では36.2だった。

 対象となった集団に最も多く処方されていたリスペリドンを参照として死亡のハザード比を求めたところ、ハロペリドールの使用者では死亡リスクが有意に高いことが明らかになった。傾向スコア調整したハザード比は2.07(95%信頼区間1.89-2.26)。一方、クエチアピンの使用者は死亡リスクが低かった。ハザード比は0.81(0.75-0.88)。

 それ以外の抗精神病薬については、リスペリドンとの間に有意な死亡リスクの差は見られなかった。アリピプラゾールのハザード比は0.88(0.73-1.07)、オランザピンは1.02(0.96-1.08)、ジプラシドンは0.92(0.72-1.17)。

 ハロペリドール使用者の死亡リスク上昇は、使用開始直後が最も大きかった。当初40日間の死亡のハザード比は2.34(2.11-2.60)、40~79日は1.32(1.02-1.71)、80~180日は1.46(1.07-2.00)となった。

 認知症患者または行動障害のある患者においても結果は上記と同様だった。

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