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BMJ誌から
妊娠後期のSSRIは新生児遷延性肺高血圧症リスクを高める
北欧で行われたコホート研究の結果

 妊娠後期妊婦選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRI)を使用すると、新生児遷延性肺高血圧症PPHN)のリスクが2倍に高まることが、北欧で行われた住民ベースのコホート研究で明らかになった。スウェーデンKarolinska大学病院のHelle Kieler氏らが、BMJ誌電子版に2012年1月12日に報告した。

 PPHNは新生児の生命を脅かす深刻な病気で、主に満期産児と過期産児に見られる。危険因子として、母親の過体重、喫煙、糖尿病、妊娠中の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用などが知られている。

 一方、妊娠中に7~25%の女性がうつ状態になるといわれており、近年、妊婦へのSSRI投与が増えている。これまでにも、SSRIの使用とPPHNの関係を調べた研究は複数行われているが、SSRI使用によるリスク上昇はないとするものから、曝露児のリスクは非曝露児の6倍という報告まで、結果は様々だった。

 著者らは、これまでに行われた研究の結果に基づいて、主に妊娠後期のSSRIの使用とPPHNの関係に焦点を絞り、十分な統計学的パワーを持つコホート研究を行おうと考えた。

 デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの国民健康登録から、1996~2007年に、妊娠33週以降で単生児を出産した母親と小児161万8255組の情報を得た。

 主要評価指標は、妊娠後期のSSRI曝露と生後7日以内のPPHN診断の関係とした。加えて、妊娠初期のSSRI曝露とPPHNリスクの関係や、個々のSSRIとPPHNリスクの関係も評価した。交絡因子候補として、母親の喫煙、年齢、BMI、NSAIDsの使用、糖尿病治療薬の使用、妊娠中の病歴、出産した病院、出産した国、出産年、出産順位で調整し、SSRI非曝露児に対する曝露児のオッズ比を求めた。

 約3万人が妊娠中にSSRIを使用しており、うち20週以降にSSRIを使用していた妊婦は1万1014人、妊娠初期のみSSRIを使用していた妊婦は1万7053人いた。

 妊娠後期にSSRIの曝露を受けた1万1014人の新生児のうち、33人がPPHNと診断された。うち3人には、PPHNリスクを高めることが知られている胎便吸引が認められた。SSRI曝露群のPPHNの絶対リスクは、新生児1000人当たり3人になった。一方、SSRI曝露なしの妊婦は158万8140人で、PPHNの絶対リスクは1000人当たり1.2人だった。非曝露児と比較した曝露児の調整オッズ比は2.1(95%信頼区間1.5-3.0)となった。胎便吸引があった3人を除くと、リスクはわずかに上昇する程度だった。

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