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BMJ誌から
アリスキレンとACE阻害薬/ARBの併用で高K血症リスクが1.5倍
10件の無作為化試験のメタ分析で単剤と比較

 直接的レニン阻害薬アリスキレンと、ACE阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を併用すると、それぞれを単剤で用いた場合に比べて高カリウム血症のリスクが1.5倍超になることが、無作為化試験のメタ分析で明らかになった。カナダToronto大学のZiv Harel氏らが、BMJ誌電子版に2012年1月9日に報告した。

 ONTARGET試験の事後解析などにより、ACE阻害薬とARBを併用すると腎機能などに好ましくない影響が見られることが示されて以来、これら2剤の併用には注意が払われるようになった。これらの薬剤と同じ経路に作用する直接的レニン阻害薬のアリスキレンもまた、ACE阻害薬またはARBと併用すれば同様の影響を及ぼす可能性を持つ。レニン・アンジオテンシン系を阻害した場合に発生しうる重症有害事象は、高カリウム血症と急性腎障害だ。これまで、アリスキレンとACE阻害薬またはARBを併用した場合の安全性を評価した質の高い研究はなかった。

 著者らは、アリスキレンの処方が増えていることから、他のレニン・アンジオテンシン系阻害薬との併用の安全性に焦点を当てた評価が必要だと考え、無作為化試験の系統的レビューとメタ分析を行った。

 Medline、Embase、コクランライブラリと2つの臨床試験登録に、11年5月7日までに登録された研究の中から、アリスキレンとACE阻害薬またはARBを併用した患者群と、それらの薬剤を単剤投与した患者群の転帰を比較していた無作為化試験で、治療期間が4週間以上、有害事象として高カリウム血症または急性腎障害の発生件数を報告していたものを選出した。

 主要アウトカムは高カリウム血症(血清カリウム値が5.5mmol/L超)に、2次アウトカムは急性腎障害(血清クレアチニン値が2.0mg/dL超)と高カリウム血症の重症度(血清カリウム値が5.5~5.9mmol/Lを中等症、6.0mmol/L以上を重症とした)に設定、ランダム効果モデルを用いて分析した。

 10件の研究(4814人を登録)が条件を満たした。7件はアリスキレン+ARBとARB単剤を比較しており、うち5件はアリスキレン単剤との比較も行っていた。2件はアリスキレン+ACE阻害薬またはARBと、ACE阻害薬単剤またはARB単剤を比較。1件はアリスキレン+ACE阻害薬と、アリスキレン単剤、ACE阻害薬単剤を比較していた。

 用量は研究によって異なっていたが、ほとんどの試験が最大推奨用量の適用を目標に設計されていた。試験期間は8週から36週だった。6件の試験で他の降圧薬(β遮断薬、アルドステロン拮抗薬など)が併用されていた。

 アリスキレンとACE阻害薬またはARBの併用(以下、併用群)は、高カリウム血症リスクを有意に高めていた。ACE阻害薬またはARBを単剤で投与された患者群と比較した相対リスクは、1.58(95%信頼区間1.24-2.02)。リスク差は0.02(0.01-0.04)で、害必要数(NNH)は43(28-90)になった。また、アリスキレン単剤群と比較した場合の相対リスクは1.67(1.01-2.79)、リスク差は0.02(0.01-0.03)、害必要数は50(33-125)だった。

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