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BMJ誌から
80歳以上でも降圧治療の継続で死亡リスクが低下
HYVETの延長試験の結果

 80歳以上の高齢者に対する降圧治療の利益を示したHYVET試験の延長試験で、高齢であっても降圧治療を速やかに開始し、継続すれば、高血圧関連イベントのリスク低減に加えて全死因死亡リスクも低下することが示された。英London大学のN S Beckett氏らが、BMJ誌2012年1月14日号に報告した。

 HYVET試験は、80歳以上の高齢者に対する降圧治療の有効性を初めて明確に示し、米国の治療ガイドライン修正のきっかけとなった二重盲検無作為化試験だ。80歳以上で、収縮期血圧が160mmHg以上の状態が2カ月以上続いていた高齢者を、欧州、中国、オーストラリア、チュニジアの計13カ国195施設で登録。降圧治療(インダパミドにペリンドプリルを適宜追加)を行う介入群と、偽薬を投与する対照群に割り付け、主要評価指標を脳卒中に設定した。

 2007年に行われた中間評価において、介入群における脳卒中リスク低下(ハザード比0.70)と共に死亡リスクの低下(ハザード比0.79)も明らかになったため、追跡期間1.8年(中央値)の時点で試験は早期中止された(参考記事)。

 著者らは今回、その延長試験を行って、80歳以上の患者の場合、高血圧に対する治療の利益が速やかに得られるのか、また、治療を継続すると利益が大きくなるのかどうかを明らかにしようと考えた。

 HYVET試験の期間中に主要エンドポイントまたは2次エンドポイントに設定されたイベントを経験せず、試験中止時点で二重盲検が維持されていた人々を選んで、1年間のオープンラベルの延長試験を行った。無作為化試験の最後の受診時に、延長試験への参加の意思を確認し、同意があった患者については、投薬に切れ目が生じないよう、それまで介入群に割り付けられていた患者には続けて降圧薬を投与し、偽薬を投与されていた介入群には降圧薬投与を開始した。

 レジメンは無作為化試験に用いられたもの(利尿薬のインダパミド徐放薬1.5mgを基本とし、血圧値に応じてACE阻害薬のペリンドプリル2~4mgを追加)とし、降圧目標値も同様(150/80mmHg未満)とした。延長試験においては、目標がどうしても達成できない患者について、担当医の判断で他の降圧薬を追加投与することを認めた。

 主要評価指標はあらゆる脳卒中に設定。そのほかに、全死因死亡、心血管死亡、心血管イベント(心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、非致死的心不全)について評価した。

 1882人が延長試験のための登録条件を満たし、1712人(91%)が同意した。内訳は、無作為化試験で介入群だった患者が924人(介入群の91.6%、平均年齢84.9歳、以下「元介入群」)、対照群だった患者が788人(対照群の90.3%、84.6歳、以下「元対照群」)。

 延長試験開始時の平均血圧は、座位では元介入群が145.0/76.6mmHg、元対照群が159.3/80.8mmHgで、差は14.3/4.2mmHg(P<0.001)だった。立位ではそれぞれ141.9/75.8mmHg、156.2/80.2mmHgだった。

 開始から6カ月後には、座位での血圧が元介入群は145.3/76.0mmHg、元対照群が146.6/76.6mmHgとなり、差は1.3/0.6mmHgに縮小。有意な差ではなくなっていた。延長試験終了時(1年後)には、差はさらに縮小。それぞれ142.8/76.2mmHgと143.8/76.4mmHgで、差は1.0/0.2mmHgだった。

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