日経メディカルのロゴ画像

BMJ誌から
股関節置換術でインプラント素材による差はほとんど見られず
18件の比較研究のメタ分析の結果、十分なエビデンスなし

 人工股関節置換術に用いられるインプラントについて、素材の違いによる安全性と有効性を比較したメタ分析により、従来型の製品とより新しい製品で、転帰の差はほとんどないことが明らかになった。米Weill Cornell Medical CollegeのArt Sedrakyan氏らが、BMJ誌2011年12月10日号に報告した。

 米国では人工股関節置換術が年間27万件行われており、その数は今後10年間に倍増すると予想されている。股関節置換術を受けた患者の一部は、インプラントの感染や脱臼、摩耗、不安定化、ゆるみ、その他の機械的な問題から10年以内に再置換を必要とする。

 ベアリング部の素材は、合併症と再置換リスクの低減において重要だ。従来から用いられているメタルオンポリエチレン(メタル製の骨頭球の上にポリエチレン製のカップを乗せた構造)に加えて、近年、様々な素材のベアリングを用いたインプラントが市場に登場している。より新しいメタルオンメタルのインプラントには大きな径の骨頭球が使用できるため、これまでの製品より脱臼しにくいと考えられているが、重症の金属症(金属イオンの組織への蓄積)が発生する可能性がある。

 そこで著者らは、現在利用可能な様々な素材のインプラントの相対的な安全性と有効性を評価するため、系統的レビューを行った。Medline、Embase、コクランセントラルやFDAに提出された承認申請と市販後調査の安全性と有効性に関する記述の中から、成人を登録した臨床試験で、様々な素材のベアリング(従来から用いられているメタルオンポリエチレン、セラミックオンポリエチレン、より新しいメタルオンメタル、セラミックオンセラミックなど)を有するインプラントを用いた人工股関節置換術について、患者の機能的転帰、再置換術施行に関する情報のいずれかまたは両方を提供しているものを選んだ。

 無作為化試験と比較観察研究18件に登録された、3139人の3404関節に関するデータを抽出した。患者の平均年齢のレンジは42~71歳、26~88%が女性だった。18件の研究の質は、4件が中~高レベル、5件が中レベル、6件が低レベルだった。

 股関節の機能判定基準としてHarrisヒップスコア(0~100点、高スコアほど転帰良好)を用いていた研究は16件あったが、術前と術後のスコアの両方を報告していたのは10件のみだった。

 メタルオンメタルと従来型を比較した研究のうち、比較の対象がメタルオンポリエチレンだった4件では、術後2年の時点で、どの試験の結果もメタルオンポリエチレンのHarrisスコアの方が高い傾向を示した。4件のデータをプール解析すると、メタルオンポリエチレンの術後のスコアは有意に高くなった(差は2.40ポイント、95%信頼区間0.33-4.47ポイント)。

 2年を超えて追跡していた試験は3件で、2件はメタルオンポリエチレンとの比較、1件はセラミックオンポリエチレンとの比較だった。個々の試験においても、3件のデータのプール解析でも、Harrisスコアに有意差は見られなかった。

 セラミックオンセラミックを従来型と比較していた研究では、5件がセラミックオンポリエチレンとの比較、2件はメタルオンポリエチレンとの比較だった。いずれの比較でも術後のHarrisスコアに差はなかった。

 従来型のセラミックオンポリエチレンとメタルオンポリエチレンを比較した研究は2件で、こちらも術後スコアに差はなかった。

この記事を読んでいる人におすすめ