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BMJ誌から
小児の脱水への急速輸液に標準輸液を上回る利益なし

 胃腸炎脱水症状を示す小児患者に対する急速輸液には、標準的な流速での輸液を上回る利益はなく、退院までの時間は延びる―。そんな無作為化試験の結果を、カナダトロント小児病院(Hospital for Sick Children)のStephen B Freedman氏らが、BMJ誌電子版に2011年11月17日に報告した。

 救急部門を受診した、胃腸炎で脱水症状を示す小児患者には、点滴による水分補給が行われることが多い。輸液の流量を上げれば脱水はより早く改善され、食欲も増して、在院時間とコストを減らせる可能性があるが、標準的な流速での輸液と有効性、安全性を比較した研究はこれまでほとんどなかった。

 著者らは、急速輸液の効果を明確に示した研究がなく、有害事象発生が懸念されるにもかかわらず、米国ではその適用が増えていることを危惧。血行動態が安定している小児の脱水患者を対象に、急速輸液の効果とリスクを標準輸液と比較する無作為化試験を行った。対象に選んだのは、北米で点滴による水分補給の適応となる典型的な小児患者だ。

 06年12月から10年4月まで、カナダの3次医療施設の小児救急部門で患者登録を実施。胃腸炎に起因する脱水症と診断され、経口補水に反応せず、点滴による水分補給が指示された生後90日超の小児のうち、臨床的脱水スコアが3を超えた226人を登録した(臨床的脱水スコアは、全身、眼、粘膜の状態と涙量をそれぞれ0~2ポイントで評価し合計したもの。合計がゼロなら脱水が3%未満、1~4なら3~6%の脱水、5~8なら6%以上の脱水と評価する)。

 除外条件は、体重が5kg未満または33kg超、水分制限が必要な患者、手術が必要になる可能性がある患者、慢性の全身性疾患歴あり、腹部手術歴あり、胆汁または血液が混じる嘔吐の既往あり、低血圧、低血糖または高血糖状態―などとした。

 登録した患者を、1対1の割合で急速輸液(60mL/kg/時)または標準輸液(20mL/kg/時)に割り付け、0.9%生理食塩水を1時間投与。その後、5%テキストロースを添加した0.9%生理食塩水を維持流量で投与した。添加する塩化カリウムの量は血清カリウム濃度に基づいて決定した。点滴中も経口補水の試みを継続するとした。

 30分ごとに臨床的脱水スコア、経口補水状況や有害事象(水分補給過剰を示唆する頻呼吸、頻脈、末梢の浮腫、低酸素症、血中ナトリウム量の異常など)の有無を評価した。

 実際に輸液を行う看護師を除き、盲検を維持した。

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