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BMJ誌から
妊娠初期のACE阻害薬使用は先天異常を増やさない
高血圧の影響の方が大きい

 妊娠初期におけるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬や他の降圧薬の使用は、胎児の先天異常全般と先天性心奇形のリスク上昇を引き起こさないことが、米Kaiser Foundation Research InstituteのDe-Kun Li氏らの研究で分かった。降圧薬を処方されていない高血圧の妊婦の方が、胎児の先天異常リスクは高かった。論文は、BMJ誌2011年10月28日号に掲載された。

 妊娠中期または後期のACE阻害薬の使用が胎児に先天異常を引き起こすことはよく知られている。先頃、テネシー州のメディケイド加入者を分析した研究で、妊娠初期のACE阻害薬使用もまた、先天異常リスクを上昇させることが示された。他の降圧薬を使用した妊婦にはリスク上昇は見られなかったことから、ACE阻害薬に特異的な作用ではないかとの考えが示された。しかし、それ以降に行われた2件の研究では、妊娠初期のACE阻害薬のみならず他の降圧薬の使用も、先天異常リスクを高めることを示す結果が得られている。

 そこで著者らは、これらの研究で観察された先天異常リスクの上昇がACE阻害薬特有のものなのか、降圧薬全般に共通する影響なのか、それとも高血圧に起因するものなのかを明らかにするために、より大規模な集団を対象に、後ろ向きコホート研究を実施した。

 カリフォルニア州北部地域のKaiser Permanenteに加入しており、1995~08年に出産した妊婦と出生児のペア46万5754組を分析対象にした。Kaiser Permanenteの各種データベースを利用して、処方薬の調剤記録や医療記録を抽出した。

 妊婦の高血圧と降圧薬使用状況に基づいて、ペアを次の4群に分けた。正常対照群(高血圧の診断を受けておらず降圧薬の使用もなし、41万6218組)、高血圧対照群(高血圧と診断されていたが降圧薬使用はなし、3万1274組)、妊娠中にACE阻害薬を使用した群(755組)、妊娠中に他の降圧薬を使用した群(1万7507組)。すべての出生児を08年12月末まで追跡し、先天異常の有無を調べた。

 妊娠初期のACE阻害薬使用は、妊娠1000回当たり0.9例。それ以外の降圧薬の使用は、妊娠1000回当たり2.4例だった。

 先天異常の発生は、正常対照群の2万2429組(5.4%)。妊娠初期のみACE阻害薬使用があった400組では、34組(8.5%)に発生していた。母親の年齢、人種、経産回数、妊娠前からの糖尿病、肥満で調整して求めたACE阻害薬曝露による先天異常発生の調整オッズ比は、1.20(95%信頼区間0.84-1.72)だった。

 妊娠初期のみ他の降圧薬使用があった1141組では、先天異常は79例(6.9%)に発生しており、オッズ比は1.22(0.97-1.54)と、やはり有意差はなかった。一方、高血圧対照群では、3万1274組中2247組(7.2%)に先天異常が見付かった。正常対照群と比較したオッズ比は1.25(1.19-1.31)で、リスク上昇は有意だった。

 そこで、高血圧対照群を参照群として先天異常の発生リスクを降圧薬使用群と比較したところ、ACE阻害薬曝露のオッズ比は0.97(0.67-1.41)、他の降圧薬曝露は1.00(0.79-1.27)となり、リスク上昇傾向は見られなくなった。

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