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BMJ誌から
HIV感染者の平均余命が過去12年間で15年延長
早期に治療を開始すれば一般の平均余命との差は5.4年、英国の研究

 英国のHIV-1感染者の平均余命は、1996年から2008年の間に約15年延長し、特にCD4陽性細胞(以下、CD4)数が200~350個/mm3の段階で抗ウイルス薬の使用を開始したグループでは、一般英国人の平均余命との差が5.4年まで縮まっていることが、英Bristol大学のMargaret May氏らのコホート研究で明らかになった。論文は、BMJ誌電子版に2011年10月11日に掲載された。

 治療法の進歩などにより、HIV感染者の死亡率は低下し続けている。既に、抗ウイルス療法が奏効している患者の死亡率は、ヘビースモーカー、大量飲酒者、肥満者といった不健康な生活を送っている一般の人々や、糖尿病などの慢性疾患の患者と同様になっている。しかしこれまで、HIV感染者の余命を調べた研究はほとんどなかった。

 余命を知ることは患者の人生設計において非常に重要であり、公衆衛生担当者にとってもそうした情報の有用性は高いと考えた著者らは、治療を受けているHIV-1感染者の平均余命を一般の人々と比較し、抗ウイルス薬を用いた治療の開始時期が平均余命に及ぼす影響を調べるコホート研究を行った。

 UK Collaborative HIV Cohort(UK CHIC)Studyで収集された1996~2008年のデータを利用した。英国のHIVクリニックを受診した20歳以上のHIV-1感染者で、96~08年に3剤以上の抗ウイルス薬の投与が開始されており、その時点のCD4数が350個/mm3以下(英国のガイドラインで治療の適応とされる)だった人々の情報を抽出した。違法薬物の注射による感染とみなされた患者は、他の経路で感染した患者に比べて転帰不良と考えられていることから、分析から除外した。

 主要アウトカム評価指標は、20歳の感染者の平均余命とした。治療開始時点から追跡を行った。治療開始の時期(96~99年、2000~02年、03~05年、06~08年)に基づいて患者を4群に分けた。1000人-年当たりの粗死亡率を計算し、20歳から64歳までの死亡によって失われた生存年、すなわち潜在的余命損失年数(PYLL)を1000人-年当たりで求め、そこから20歳時点の平均余命を算出した。

 条件を満たした1万7661人を5.1年(中央値)追跡した。9万1203人-年の追跡で1248人(7%)が死亡していた。

 20歳時の平均余命を求めたところ、96~99年に治療を開始したグループは30.0年(SDは1.2)、00~02年は39.4年(1.2)、03~05年は43.1年(1.0)で、06~08年には45.8年(1.7)になっていた。96~08年の期間全体では41.1年(0.5)だった。

 96~08年の平均余命を男女別に見ると、男性患者では39.5年(0.45)だったが、女性患者は50.2年(0.45)と長かった。一方、同時期(96~06年)の20歳の一般英国人の平均余命は男性が57.8年、女性は61.6年だった。

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