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BMJ誌から
静脈血栓塞栓症リスクを簡便に予測できるアルゴリズムを開発

 一般開業医がパソコンで簡単に使用できる、静脈血栓塞栓症VTE)のリスク予測アルゴリズムを、英Nottingham大学のJulia Hippisley-Cox氏らが作成し、その精度をBMJ誌2011年8月20日号に報告した。このアルゴリズム「QThrombosis」は、http://www.qthrombosis.org/で利用可能だ。

 VTEリスクの予測因子はいくつか同定されており、予防策も存在している。だが、一般医が簡単に使用でき、有用性が確認されたリスク予測アルゴリズムはこれまでなかった。

 著者らは、VTE予防策の適用によって利益を得られることが予想される患者や、VTEリスクを高める薬剤の慎重投与の対象となる患者を同定するため、アルゴリズムの作成に取り組んだ。目指したのは、現在何らかの症状があってVTEが疑われる患者のリスクを評価するモデルではなく、プライマリケアを受診する個々の患者の1~5年後の絶対リスクの予測を可能にするモデルの作成だ。

 この前向きコホート研究には、英国のプライマリケアの患者データを利用した。一般開業医を受診した患者のデータが登録されているQResearchデータベースに情報を提供しているイングランドとウェールズの564の一般診療施設のうち、約3分の2を誘導コホート(アルゴリズムを作成するためのコホート)、残りの3分の1を確認コホート(作成したアルゴリズムの精度を確認するためのコホート)とした。

 04年1月から10年4月までの間に、登録されていた25~84歳の患者の中から、VTE歴、過去1年間の妊娠歴、経口抗凝固薬の投与のいずれもない患者を選び、以下のいずれかの時点まで追跡した:初回VTEイベント、死亡、診療施設からの登録抹消、組み入れから5年後、試験期間終了。

 誘導コホートのデータにCox比例ハザードモデルを適用し、1年後から5年後までのリスクを予測するアルゴリズムを作成。その後、確認コホートを対象に較正を行った。

 誘導コホートの375施設に登録されていた患者は231万4701人、確認コホートは189施設124万602人だった。誘導コホートを1009万5199人-年観察したところ、VTEは1万4756イベント発生し、罹患率は1万人-年当たり14.6だった。イベントの39.3%が肺塞栓症、60.7%は深部静脈血栓症だった。一方、確認コホートでは、463万2694人-年の観察で、静脈血栓塞栓症が6913イベント発生、罹患率は1万人-年当たり14.9となった。

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