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BMJ誌から
高齢うつ病患者への抗うつ薬は死亡や転倒のリスクを高める可能性

 高齢のうつ病患者が抗うつ薬を使用する場合の有害な転帰を調べたコホート研究で、主に三環系抗うつ薬以外の薬剤は、自殺企図/自傷行為、てんかん/痙攣にとどまらず、全死因死亡や転倒、骨折などの有害な転帰を増やす可能性があることが分かった。英Nottingham大学のCarol Coupland氏らが、BMJ誌2011年8月13日号に報告した。

 英国では、地域在住の高齢者の10~15%がうつ病という報告もあるほど、高齢者のうつ病が多い。高齢の患者にも抗うつ薬が広く投与されているが、抗うつ薬が高齢者にどのような有害転帰をもたらすのかは明らかではない。

 高齢者は若い患者に比べ、合併疾患や併用している薬剤が多い上に、加齢による生理的な変化もあるため、抗うつ薬使用と関連する有害転帰を知ることは重要だ。そこで著者らは、高齢者を対象として大規模な観察研究を行い、65歳以上のうつ病患者の抗うつ薬使用といくつかの有害な転帰の関係を調べ、抗うつ薬の種類や用量とリスクの間に関係があるかどうかを評価した。

 英国のプライマリケアデータベースQResearchから情報を得た。対象は、96年1月1日から07年12月31日に新たなうつ病エピソードが登録されていた65歳以上の患者で、有害転帰に関する追跡は、08年12月31日まで継続した。

 抗うつ薬の使用と全死因死亡、自殺企図/自傷行為、心筋梗塞、脳卒中/一過性脳虚血発作、転倒、骨折、上部消化管出血、てんかん/痙攣、交通事故、薬剤の有害事象、低ナトリウム血症の関係を調べるために、交絡因子候補で調整し、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比を求めた。交絡因子候補として、診断時の年齢、性別、診断年、65歳以前のうつ病診断の有無、うつ病エピソードの重症度、貧困度、喫煙歴、併存疾患、他剤の使用、転倒歴などの情報を収集した。

 条件を満たしたうつ病患者は6万746人(平均年齢75.0歳、男性は33.3%)で、患者1人当たり5年、計30万5188人-年の追跡を行った。5万4038人(89.0%)の患者が追跡期間中に抗うつ薬の投与を受けていた。処方回数は計139万8359回で、うつ病患者全体では、抗うつ薬の処方が1回だけだった患者が10.7%、60回以上処方されていた患者は10.9%。追跡期間中の抗うつ薬投与期間の中央値は364日だった。

 全処方回数のうち、76万4659回(54.7%)が選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)、44万2192回(31.6%)が三環系抗うつ薬、18万9305回(13.5%)はその他の抗うつ薬の処方だった。

 個々の薬剤の処方回数を調べたところ、上位10剤は、SSRIsのシタロプラムフルオキセチンパロキセチンセルトラリンエスシタロプラム、三環系抗うつ薬のアミトリプチリンドスレピンロフェプラミン、「その他の抗うつ薬」であるベンラファキシンミルタザピンで、これらを合わせるとすべての処方の93.6%を占めた。10位との差がわずかだった11位のトラゾドン(三環系抗うつ薬※)を加えて11剤(処方回数全体の96.0%)について有害転帰との関係を調べた。



※本論文ではトラゾドンは三環系抗うつ薬に分類されている。

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