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BMJ誌から
妊娠悪阻の管理、制吐薬に反応しなければステロイドも考慮

 妊婦の50~90%が悪心嘔吐を経験する。その程度は、軽い「つわり」から重症の妊娠悪阻まで様々だ。英Hammersmith病院のSheba Jarvis氏らは、過去15年間に報告された文献をレビューし、妊婦の悪心と嘔吐の管理法をまとめてBMJ誌2011年6月25日号に報告した。

 悪心と嘔吐を訴える妊婦の約35%は、治療を要するレベルの症状を示す。通常は妊娠6週から8週に症状が現れ、9週目にピークを迎え、12週ごろから症状は軽快していく。一部に、妊娠20週を過ぎても症状が残る妊婦が見られる。

 妊婦全体の1%にも満たないが、より重症のケースを妊娠悪阻と呼ぶ。妊娠悪阻の定義は国によって異なるが、妊娠前より体重が5%超減少、脱水、電解質バランスの乱れ、ケトーシスなどを呈し、入院が必要なケースを呼ぶ場合が多い。重篤な妊娠悪阻は、妊婦のウェルニッケ脳症(ビタミンB1欠乏に起因する)、胎児の発育遅延などを引き起こす危険性がある。

 妊娠悪阻の危険因子を調べた疫学研究では、一貫した結果は得られていない。また、妊婦の悪心と嘔吐の発生機序については様々な説があり、遺伝的な要因のほか、内分泌系や消化器系の要因、環境要因、心理社会的な要因などの関与が示唆されている。近年、抗H. pylori抗体陽性者に妊娠悪阻が多いという報告が複数行われた。ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)が妊娠悪阻のメディエーターとなることを示すデータ、甲状腺機能の変化が関係することを示すデータは以前から報告があった。プロゲステロンや副腎皮質刺激ホルモン、レプチンなどの関与も示唆されている。

 一般的なつわりの症状は、水分を適切に経口摂取し、悪心や嘔吐のきっかけになるような食べ物(脂肪の多い食品やにおいの強い食品など)を避けるだけで、管理できる場合が多い。しかし、日常生活に支障が出ている妊婦には、プライマリケアでも制吐薬を処方する。

 制吐薬の安全性と有効性を調べた質の高い大規模研究はわずかだが、一般的な制吐薬の多くは妊婦にも安全とみられる。残念ながら有効性に基づく順位付けは行われていない。一般に、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、ドーパミン阻害薬、5-HT3受容体拮抗薬が単剤使用または併用される。プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーの併用が効果を高める場合もある。

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